「もう、何も出来ない俺だけど⋯⋯」
「そんな事ない。何も出来なくていい」
「え?」
「ただ来てくれるだけでいい!」
「輝明⋯⋯」
「僕なんて生きてる癖に何も出来ないよ! 社会人生活一日も過ごしてないから、常識知らずで。佑斗に見つかった活動名だって、未だに格好いいと思ってるんだよ! 僕に出来る事は⋯⋯」
僕こそ、佑斗の大変だったろう時に何もしてやれなかった。
今も佑斗を目の前にして、気の利いたお悔やみの言葉一つ出てきやしない。何があったのか、どうなったのか上手く聞く自信もない。
言葉の代わりにただ溢れ出てくるのは
「鼻歌! 佑斗にまた聴いてほしいから、僕から佑斗への曲。絶対聴きに来て」
「ほんとに? 嬉しいよ⋯⋯」
「こっちこそ、有難う⋯⋯」
向かい合って見つめ合っているのに、触れられない流れる互いの涙。セルフで拭って、少し笑った。
「乗り物って、何で来たの?」
佑斗がテラスがある窓を指差した。
僕は恐る恐るカーテンを開けて覗き込む。
「うちん家は誰も作ってくれなかったから、あっちで仲良くなった奴に貸してもらったんだ」
『あっち』と言いながら佑斗が天井を見上げるもんだから、つられて僕も見てしまった。言わんとしている処は分かる。にしても⋯⋯
「ひどい出来だな。脚の長さバラバラじゃないか」
「借りた奴の作り手が、ちょっと不器用な子らしくて。輝明、これ何だかわかるのか?」
「もちろん。精霊牛だろ。昔ばっちゃんが教えてくれたべ」
「輝明の訛り聞けた! もう都会の人になっちゃったと思ったから、嬉しい」
「僕は、何も変われてないよ⋯⋯
そうだ、今度僕が作るから! 完璧なフォルムで乗り心地最高なのを。また来てくれる、佑斗の為に」
ーおしまいー
「そんな事ない。何も出来なくていい」
「え?」
「ただ来てくれるだけでいい!」
「輝明⋯⋯」
「僕なんて生きてる癖に何も出来ないよ! 社会人生活一日も過ごしてないから、常識知らずで。佑斗に見つかった活動名だって、未だに格好いいと思ってるんだよ! 僕に出来る事は⋯⋯」
僕こそ、佑斗の大変だったろう時に何もしてやれなかった。
今も佑斗を目の前にして、気の利いたお悔やみの言葉一つ出てきやしない。何があったのか、どうなったのか上手く聞く自信もない。
言葉の代わりにただ溢れ出てくるのは
「鼻歌! 佑斗にまた聴いてほしいから、僕から佑斗への曲。絶対聴きに来て」
「ほんとに? 嬉しいよ⋯⋯」
「こっちこそ、有難う⋯⋯」
向かい合って見つめ合っているのに、触れられない流れる互いの涙。セルフで拭って、少し笑った。
「乗り物って、何で来たの?」
佑斗がテラスがある窓を指差した。
僕は恐る恐るカーテンを開けて覗き込む。
「うちん家は誰も作ってくれなかったから、あっちで仲良くなった奴に貸してもらったんだ」
『あっち』と言いながら佑斗が天井を見上げるもんだから、つられて僕も見てしまった。言わんとしている処は分かる。にしても⋯⋯
「ひどい出来だな。脚の長さバラバラじゃないか」
「借りた奴の作り手が、ちょっと不器用な子らしくて。輝明、これ何だかわかるのか?」
「もちろん。精霊牛だろ。昔ばっちゃんが教えてくれたべ」
「輝明の訛り聞けた! もう都会の人になっちゃったと思ったから、嬉しい」
「僕は、何も変われてないよ⋯⋯
そうだ、今度僕が作るから! 完璧なフォルムで乗り心地最高なのを。また来てくれる、佑斗の為に」
ーおしまいー



