一年生全体の指揮を取るのは、幼少期からダンスクラブに所属し、大会とかにも出場経験のある、福田友加里だ。高い位置で結んだポニーテールを揺らし、センターにいて、誰よりも輝こうと動くその彼女のことを、僕は嫌っている。
「サビ、気合入れて!!」
ダンスに限っては当たりが強くなるが、普段は温厚な性格で、男子にも女子にも優しいタイプだ。けれど、なぜか僕に対しては普段から態度が変わらない。今もこうして、顎で指示され、全体の評価を求められ、それに答えても答えなくても注意を受け、最後は呆れられる。どうせ嫌いなんだろうから、僕も嫌っている、ただそれだけだ。
「ラスサビも、ちゃんと動いて!」
CDの音量に負けない、彼女の声が体育館内に響き渡る。彼女を支持する女子たちは懸命に応える。賢い人物は、サボりが見えない程度を研究し、それを実践する。初っ端からやる気のない男子たちは面倒そうに動く。
あと二十秒で曲が終わる。また評価を求められる。これで、記念すべき五十回目だ。
「梅沢、どうだった?」
息を整えながら、彼女は問う。僕はデッキを操作しながら、気怠く答えた。「見てて、イライラすんだけど」と。
「これがダンス? マジであり得ない。やる気の差が酷すぎる。女子は、そのままでいいと思う。問題は男子。踊りたくもないのにダンスさせられるのが嫌だって気持ちは理解できるけど、それくぉ表に出したら、観客はどう思う? 自分が観客だったとき、そういった踊り見てどう思う? 個々人、ちゃんと考えた方がいいと思うし、変わらないなら、感想聞かれても答えないから」
彼女の目付きが変わる。心のどこかに火をつけたようだった。
授業を終えた生徒たちは、一目散に更衣室へ向かう。ただでさえ暑苦しい空間。女子たちを揶揄う男子たちの馬鹿でかい笑い声、清涼感を与えるスプレーが振り撒かれる音、その匂いと混ざり始める汗の匂い。床に投げ捨てられた体操服、上半身裸の男たち……と、本当にむさくるしい。
汗もかいていないから、特にそういったものを必要としない僕は、早々に更衣室を後にした。まだ他の学年は授業を受けている。鳥のさえずりが煩いほど、校舎内は静かだ。
開けられた窓から吹き込んでくる五月の風に、切り揃えたばかりの髪の毛が靡く。階段を駆け上がり、授業をしている二年生の教室の前だけ歩いて、通り過ぎたら走る。
「今のうちに」
机横にひっかけてあるリュックを背負い、教室を出た。
「サビ、気合入れて!!」
ダンスに限っては当たりが強くなるが、普段は温厚な性格で、男子にも女子にも優しいタイプだ。けれど、なぜか僕に対しては普段から態度が変わらない。今もこうして、顎で指示され、全体の評価を求められ、それに答えても答えなくても注意を受け、最後は呆れられる。どうせ嫌いなんだろうから、僕も嫌っている、ただそれだけだ。
「ラスサビも、ちゃんと動いて!」
CDの音量に負けない、彼女の声が体育館内に響き渡る。彼女を支持する女子たちは懸命に応える。賢い人物は、サボりが見えない程度を研究し、それを実践する。初っ端からやる気のない男子たちは面倒そうに動く。
あと二十秒で曲が終わる。また評価を求められる。これで、記念すべき五十回目だ。
「梅沢、どうだった?」
息を整えながら、彼女は問う。僕はデッキを操作しながら、気怠く答えた。「見てて、イライラすんだけど」と。
「これがダンス? マジであり得ない。やる気の差が酷すぎる。女子は、そのままでいいと思う。問題は男子。踊りたくもないのにダンスさせられるのが嫌だって気持ちは理解できるけど、それくぉ表に出したら、観客はどう思う? 自分が観客だったとき、そういった踊り見てどう思う? 個々人、ちゃんと考えた方がいいと思うし、変わらないなら、感想聞かれても答えないから」
彼女の目付きが変わる。心のどこかに火をつけたようだった。
授業を終えた生徒たちは、一目散に更衣室へ向かう。ただでさえ暑苦しい空間。女子たちを揶揄う男子たちの馬鹿でかい笑い声、清涼感を与えるスプレーが振り撒かれる音、その匂いと混ざり始める汗の匂い。床に投げ捨てられた体操服、上半身裸の男たち……と、本当にむさくるしい。
汗もかいていないから、特にそういったものを必要としない僕は、早々に更衣室を後にした。まだ他の学年は授業を受けている。鳥のさえずりが煩いほど、校舎内は静かだ。
開けられた窓から吹き込んでくる五月の風に、切り揃えたばかりの髪の毛が靡く。階段を駆け上がり、授業をしている二年生の教室の前だけ歩いて、通り過ぎたら走る。
「今のうちに」
机横にひっかけてあるリュックを背負い、教室を出た。



