目的地は、隣町にあるショッピングモールだった。誰かが行きたいと言い出したわけではなく、自然な流れで決まった。
お盆休みということもあり、交通量も多く、到着してからも駐車場を探すのに一苦労だった。どの車も屋根付きの駐車場に車を停める。選択肢は、一階か屋上しかなかった。
「どっちがいい?」
「風雅先生が楽なほうで」
「兄ちゃん、一階のほうがいいと思う。帰る時間にもよるけど、日陰になる場所空いてるかもしれないし」
「そうだな」
こうして、一階の駐車場に車が停められ、そこから三人横並びで歩き、店内に入った。到着時間がちょうどお昼時だったこともあり、混雑を避けるために、先に買い物をして時間をつぶすことになった。が、三人とも物欲があまりなく、行ったとしても、大体何も買わずに出てくるのがオチになっていた。
「二人は、他に行きたいところ、ある?」風雅先生が問う。が、僕も、櫻楽も「ない」と声を揃えた。
「そっか。じゃあ、もうお昼食べに行くか。皇叶君は、何食べたい?」
「何でも。でも、気分的には和食が食べたい」
「俺は皇叶に合わせるから、何でも」
「じゃあ、さくっと食べれるから、うどんにするか」
館内の地図を見て、うどん屋までの近道を探る。
「ここ、こう曲がったら近くない?」
「いや、でもこの先にエスカレーターもエレベーターもないからな」
「そっか」
「うーん、すぐ裏手の階段が一番近いっちゃ近いけど……」風雅先生が僕を見た。言いたげなことは、瞳を介して伝わる。
「問題ない。階段が近いなら、それで」
「足、大丈夫か?」
「全然。普段となんも変わらない」
「兄ちゃん、もし何かあったら俺が抱き上げるか、背負うから。とりあえず階段で行こう」
「わかった。その代わり、何かちょっとでも異変があったら、すぐに言って」
「わかってる」
こうして、僕らは階段を使って、フードコートのある三階まで上っていたのだが、ここで、問題が起きた。
踊り場から一段上った先、急にバランスを崩して、そのまま前に倒れた。手すりを掴もうとした矢先のことで、すぐ隣にいた櫻楽がカバーしようとしたが、間に合わず、顔面の前に手を付いた反動で、手首を傷めたのだ。
「大丈夫か」
風雅先生と櫻楽に支えられて立ち上がったものの、手首を捻った痛さと、通常の足の痛みが同時に襲ってきた。バキッと言う音が、心から鳴った。折れた瞬間だった。
「歩けるか?」
「いや、無理させないほうがいい。俺、先に一階まで降りて、できるだけ近いところの駐車場に車停めるから、櫻楽、皇叶を一階まで連れてきてくれるか」
「わかった」
お盆休みということもあり、交通量も多く、到着してからも駐車場を探すのに一苦労だった。どの車も屋根付きの駐車場に車を停める。選択肢は、一階か屋上しかなかった。
「どっちがいい?」
「風雅先生が楽なほうで」
「兄ちゃん、一階のほうがいいと思う。帰る時間にもよるけど、日陰になる場所空いてるかもしれないし」
「そうだな」
こうして、一階の駐車場に車が停められ、そこから三人横並びで歩き、店内に入った。到着時間がちょうどお昼時だったこともあり、混雑を避けるために、先に買い物をして時間をつぶすことになった。が、三人とも物欲があまりなく、行ったとしても、大体何も買わずに出てくるのがオチになっていた。
「二人は、他に行きたいところ、ある?」風雅先生が問う。が、僕も、櫻楽も「ない」と声を揃えた。
「そっか。じゃあ、もうお昼食べに行くか。皇叶君は、何食べたい?」
「何でも。でも、気分的には和食が食べたい」
「俺は皇叶に合わせるから、何でも」
「じゃあ、さくっと食べれるから、うどんにするか」
館内の地図を見て、うどん屋までの近道を探る。
「ここ、こう曲がったら近くない?」
「いや、でもこの先にエスカレーターもエレベーターもないからな」
「そっか」
「うーん、すぐ裏手の階段が一番近いっちゃ近いけど……」風雅先生が僕を見た。言いたげなことは、瞳を介して伝わる。
「問題ない。階段が近いなら、それで」
「足、大丈夫か?」
「全然。普段となんも変わらない」
「兄ちゃん、もし何かあったら俺が抱き上げるか、背負うから。とりあえず階段で行こう」
「わかった。その代わり、何かちょっとでも異変があったら、すぐに言って」
「わかってる」
こうして、僕らは階段を使って、フードコートのある三階まで上っていたのだが、ここで、問題が起きた。
踊り場から一段上った先、急にバランスを崩して、そのまま前に倒れた。手すりを掴もうとした矢先のことで、すぐ隣にいた櫻楽がカバーしようとしたが、間に合わず、顔面の前に手を付いた反動で、手首を傷めたのだ。
「大丈夫か」
風雅先生と櫻楽に支えられて立ち上がったものの、手首を捻った痛さと、通常の足の痛みが同時に襲ってきた。バキッと言う音が、心から鳴った。折れた瞬間だった。
「歩けるか?」
「いや、無理させないほうがいい。俺、先に一階まで降りて、できるだけ近いところの駐車場に車停めるから、櫻楽、皇叶を一階まで連れてきてくれるか」
「わかった」



