「まさか皇叶が櫻楽君と同じ中学に通ってるなんてね。驚いた」
「知り合いだったのかよ」
「まあね」
「いつから?」
「皇叶が産まれる十年ぐらい前かな。櫻楽君のお兄ちゃんで、風雅っていうのがいるんだけど」
「うん、知ってる」
「え、知ってるの?」
姉は目を見開いた。やばい、と思い、慌てて言い訳をする。
「あ、あーいや、たまに櫻楽の話の中で出てくるから」
「なるほど。でも、会ったことはないでしょ」
「あ、うん。ない」
「風雅、医者になってるらしいけど、昔はそんな器には見えなかったぐらい、勉強もできないし、何しろクズで。キャハハ、思い出すだけでも笑えてくる」
「そんな人だったんだ」
「今は多分まともになってるだろうけどね」
「ふーん」
いまの風雅先生を知る僕。昔の楓雅先生を知る姉。途切れた記憶が、繋がろうとする。
「じゃあさ、ここ引っ越してくる前は、この前まで住んでたところにずっと住んでたの?」
「そうだよ。ずっとおばあちゃん家」
「へー。じゃあ、結構前から知り合いなんだ」
「そうだね。って、皇叶、覚えてない? 櫻楽君に背負われたこと、あるんだけど」
「え、あいつに? 全然覚えてない」
「まだ小さかったもんね。って言っても、櫻楽君もまだ五歳とかだったはずだけど、遊びに行ってた帰り、転んで足を怪我した皇叶のこと、櫻楽君が背負って、櫻楽君の家まで帰ってくれたのよ。そのあと、病院に行って手当してもらって。何ともなかったからよかったけど」
「知らなかった」
「だから、もし櫻楽君に何かあったときは、皇叶が助けてやりなよ。いろいろ助けてもらってるんだから」
「うるせー。お姉ちゃんに言われなくても、わかってるし」
「ホントなんだか嘘なんだか。ははは」
「黙れよ。ほら、んなとこ立ってないで、さっさと帰ろ」
「はいはい」
「知り合いだったのかよ」
「まあね」
「いつから?」
「皇叶が産まれる十年ぐらい前かな。櫻楽君のお兄ちゃんで、風雅っていうのがいるんだけど」
「うん、知ってる」
「え、知ってるの?」
姉は目を見開いた。やばい、と思い、慌てて言い訳をする。
「あ、あーいや、たまに櫻楽の話の中で出てくるから」
「なるほど。でも、会ったことはないでしょ」
「あ、うん。ない」
「風雅、医者になってるらしいけど、昔はそんな器には見えなかったぐらい、勉強もできないし、何しろクズで。キャハハ、思い出すだけでも笑えてくる」
「そんな人だったんだ」
「今は多分まともになってるだろうけどね」
「ふーん」
いまの風雅先生を知る僕。昔の楓雅先生を知る姉。途切れた記憶が、繋がろうとする。
「じゃあさ、ここ引っ越してくる前は、この前まで住んでたところにずっと住んでたの?」
「そうだよ。ずっとおばあちゃん家」
「へー。じゃあ、結構前から知り合いなんだ」
「そうだね。って、皇叶、覚えてない? 櫻楽君に背負われたこと、あるんだけど」
「え、あいつに? 全然覚えてない」
「まだ小さかったもんね。って言っても、櫻楽君もまだ五歳とかだったはずだけど、遊びに行ってた帰り、転んで足を怪我した皇叶のこと、櫻楽君が背負って、櫻楽君の家まで帰ってくれたのよ。そのあと、病院に行って手当してもらって。何ともなかったからよかったけど」
「知らなかった」
「だから、もし櫻楽君に何かあったときは、皇叶が助けてやりなよ。いろいろ助けてもらってるんだから」
「うるせー。お姉ちゃんに言われなくても、わかってるし」
「ホントなんだか嘘なんだか。ははは」
「黙れよ。ほら、んなとこ立ってないで、さっさと帰ろ」
「はいはい」



