……駅までの道は、一番うしろを歩こうと。姫妃に誘われた。

「ねぇ玲香(れいか)。今回の本編、海原(うなはら)君が最後に鉄オタ炸裂させちゃった・ね!」
「え? いきなりその話し?」
「じゃぁ前に戻って、準備委員会のときの月子(つきこ)が・ね・っ!」
「ちょっと、姫妃(きき)!」
「あとね、生徒会悔しかっ・た・し!」
「……そこまでにして〜!」


 読者のみなさんそれぞれに、感想があるんだからと。
 わたしは、いくらでもしゃべりそうな姫妃の口を慌てて塞ぐ。

「さっきからなんなの、そのテンション?」
「だって! 続編の副題がね……」
 姫妃は、そういうと。
 一度クシャクシャにしたらしいメモを、わたしに見せてくる。



『恋するだけでは、終われない / わたしの恋なら、終わらせた』



「続編で、誰かと離れちゃうのかな……」
 えっ? じゃぁもしかして。姫妃は寂しくなったから……。
「ま、わたしじゃないけ・ど・ね!」
 え? まさか……それがいいたかっただけ?

「ちょっと、いまわたしのことバカにしなかった?」
「別に。もし自覚あるなら、否定しないけど?」
「もう・い・い! でも誰かって、玲香じゃないよね?」
「知らないよ、まだ読んでないし!」


 妙なテンションの姫妃は、それだけで終わらなくて。

「あ、そうそう!」
 いきなり姫妃が、今度はスマホを出すと。
 わたしの前をクルクルしながら、ポーズをとりはじめる。
「ちょっと、今度はなに?」
「えっと、読者のみなさんに、感謝のスマイル!」
 え、もしかして。作者の代わりに愛想振ってるつもりなの?

「……あのさぁこれ、テキストの小説だよ?」
「いいからいいから! 気持ちを伝えるんだから、玲香も笑・っ・て!」

 こうして撮った、ふたりの写真が、
 読者のみなさんの心に届くことを、願いつつ。


 ……でもあえて、少し描写を加えるとすれば。


 わたしたちの髪の毛には、ちょこんと。
 とってもかわいい感じで。



 ……カエデの葉が二枚、くっついてくれていた。




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シリーズ・四作目となりました。
『恋するだけでは、終われない / 悲しむだけでは、終わらせない』
最後までご愛読いただきまして、本当にありがとうございました。

一作目から日々更新を続ける中で、それらを欠かさず読み続けて下さる方々。
完結後に、まとめてお読みいただいている方々。
スポットでも、一瞬でも。彼らの日々に、触れて下さった皆様に。
深い感謝をお伝えしますとともに。
別小説となり、大変恐縮ですが……よろしければ次回作でも。
ぜひお会いできますことを、祈念しております。


つくばね なごり

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