『未來』

優しく声をかけるけれど、その声は彼女には届かない。

泣いている彼女を抱きしめたくても触れられない。

それもそのはず。

未來には私のことは見えないのだから。

生きている時代が違うから。

でも、シクシクと泣いている彼女にどうしても伝えたいことがある。

『ねぇ、未來』

再び呼びかけても彼女は振り向かないのは分かってる。

だけど、これだけは言わせて。

死なないでいてくれてありがとう。

生きていてくれてありがとう。

死を考えてしまうほどとても辛かったね。

誰にも相談できずに苦しかったよね。

でも、大丈夫。

未來には、これから先、輝く未来があるよ。

辛い時を乗り越えて、ちゃんと大人になっていくの。

それに、未來のこと、大切に想ってくれる人が現れるよ。

その人と結婚して、その2年後にはとても可愛い女の子が産まれるの。

幸せ溢れる未来が訪れるから。

だから、今を精一杯生きて。

――過去の私。