これまでに考えていた最悪の事態は避けられそうだと思い、私はお父様へと微笑んだ。



◇◆◇


「リディア……大丈夫?」

「イーディス! ありがとう。大丈夫よ。お父様に聞けば、それほど悪い事態でもなさそうだもの」

 使用人が行って帰るならば、馬車をすぐ出せる自分の方が早いと替えのドレスを取りに行ってくれていた親友に私は微笑んだ。

「ええ。私も、そう思うわ」

 持って来てくれたドレスを近くに居た使用人に預けて貰い、私は早速着付けて貰うことにした。

「あら……どうして?」

 下着は無事だった私は頭からドレスを被り、コルセットを締めてもらう事にした。イーディスは近くにあったソファへと座って、意味ありげな様子で微笑んだ。

「だって! リディアにケーキを倒されたと知ったレンブラント殿下の怒りの表情を見れば、貴女と彼が上手くいっていないなんて思う人は居ないはずよ! それは私だけではなくて、あの場に居た全員が理解したと思うわ」

「まあ……」

 レンブラント様が怒る姿を見たことがない私は、彼女の言葉に驚いてしまった。