「頼む。しかし、まるで嫌がらせのように、彼女の誕生日に会談をぶつけて来たんだな……」

 国同士の重要条約についての重要な内容だったので断れないし、先方がこの日しかないと言えば、仕事を調整せざるを得なかった。

「ええ。わかりやすい嫌がらせでしょうね。殿下がこの前に我が国に有利な条件での条約を推し進めたので、その報復だと思われますが」

 僕の言った通りだろうと頷いたアンドレは年齢は若いが、幼い頃から神童と称えられ、今では王族である僕の侍従だ。

 おそらく、父上や兄上は将来彼を宰相に据えるつもりで、こうして様々な業務を今経験させられているのだろう。

「甘んじて、受け入れるしかあるまい。それも僕の仕事だからな」

 しかし、今年は十七歳でリディアが能力(ギフト)を貰う年だ。僕の能力(ギフト)は割と特殊らしいのだが、彼女はどうなのだろうと気になってしまう気持ちはある。

 出来れば、その話を最初に語り合うのは、僕が良いと思ってしまうが……。