「まあ! リディアの能力(ギフト)は、頭上に恋愛指数を見ることが出来るものなのね? ……そうなの。良くわからないけれど、何だか凄いわ。私はどうなのかしら?」

 幼い頃から仲の良い友人で親友と言えるフレイン伯爵令嬢イーディスは、ついこの前に判定された私の能力(ギフト)の内容を聞き、自分の頭の上を指さして目を輝かせてそう言った。

 彼女はうっすらとそばかすのある白く美しい陶器肌が特徴で、焦げ茶の髪に同色の瞳を持つ可愛らしい女性だ。

 ちなみに、私とは同じ歳で数ヶ月前に先に誕生日を迎えたイーディスは『紙程度の軽い物ならば浮かせることが出来る』能力(ギフト)らしい。

 とは言え、日常の中でそんな能力(ギフト)をどう使えば良いのか用途がわからないので、ほぼ使わないそうだ。

 もしかしたら、彼女が紙を扱う仕事をしていたら役に立つこともあったかも知れないけれど、労働をすることのない貴族令嬢に使える場面はないだろう。

 私も彼女の能力(ギフト)を誕生日直後に見せて貰ったことがあるけれど『紙が浮いたわね』という感想以外は思い浮かばなかった。

 そうして、ろくに使われないままに終わってしまう能力(ギフト)も多いのだろうと思う。

 教会での『能力(ギフト)判別の儀式』を受けた誕生日の三日後に、私たち二人はフレイン伯爵邸の陽光降り注ぐ庭園にてお茶会をしていた。

「あら。貴女の頭の上に、浮かんでいる数字は『100』よ。イーディス。これは最高値らしいわ。まあ……貴女は現在、付き合ったばかりの恋人と熱愛中ですものね。お熱いことだわ」

 実はイーディスはついこの前に出会ったルピノ伯爵令息エミールと、真剣交際中なのだ。