第三王子レンブラント様と婚約している我がダヴェンポート侯爵家は、自ずと外交関係の仕事を割り振られ、お父様とお兄様もこのところ私の婚約者同様に多忙のようだ。

「どうしてそんな事を思ったんだ。リディア。もしかして、この前に貰ったはずの能力(ギフト)関係の話か?」

 お兄様は不思議そうにそう言い、私は躊躇いつつも頷いた。

「お兄様……能力(ギフト)判定の儀式で伝えられた内容が、全く違ったものである可能性ってあるのかしら?」

 私はそれは、有り得ないと思った。神殿も公的機関に間違いないし、彼らだって重要な伝達事項に間違いがあってはいけないと日々働いているはずだ。

 けれど、現に恋人が居なくて恋愛などしている時間のない兄の頭上にある恋愛指数は最高値なのだ。

「人のすることに間違いがない事はない。もし、結果に納得がいかず疑わしいものであったなら、手紙で問い合わせて見ても良いのではないか?」

 人のすることに間違いがない事はない……それは、確かにそうだ。

 私だって何度を確認したはずのことを間違えてしまったりするし、誰しもそれは起こり得ることなのかもしれない。

 ましてや、あの時担当してくれた新人神官が、もし間違えていたとしたら……?

 疑ってしまったレンブラント様もそうだけど……エミールに対して、とっても悪いことをしてしまったのかもしれない!

 私は兄の呼ぶ声を無視して自室へと走り出して、あの能力(ギフト)判定の儀式は間違えていなかったのかと神殿へ問い合わせる手紙を書いて、早馬で届けるようにと使用人へ伝えた。