「それでは、ダヴェンポート侯爵令嬢の能力(ギフト)の内容が間違えているのではないですか? 現に貴女にこうして邪魔されようと、僕がイーディスを愛していることには変わりない。より彼女への想いが増したと言えます」
「……私の能力(ギフト)が間違いだと言うの? まさか……」
私はエミールから思わぬ指摘をされて驚き、信じられないと目を見開いた。
「とにかく、僕は出会った時から今まで変わらずにイーディスを心から愛していますし、貴女が先ほど危惧されていた内容は、すべて無用な心配です……失礼します!」
怒りで身体を震わせていたエミールは、私を置いて部屋を出て行った。
扉を乱暴に閉められた大きな音を聞いて、彼の言葉を聞き呆然としていた私は我に返った。
私の……能力(ギフト)の内容が、そもそも間違いだったかもしれないですって?
★♡◆
「リディア! どうしたんだ!」
「わ。お兄様……もう。暑苦しいから、こちらに近づかないで」
ダヴェンポート侯爵邸に帰って来た私は、兄ジョセフの熱烈な歓迎にうんざりして両腕を開いた彼からそれとなく距離を取った。



