「……ここでは話せないから、良かったら場所を移せるかしら?」

 私の表情や口調で何か深刻な問題を抱えているのかと、エミールは思ったらしい。真面目な表情で頷いた。

「構いません。イーディスに関わることなのですね。ぜひ、お話を聞かせてください」

「こちらへ……」

 私は彼を促して、つい先ほど自分が出てきた部屋へと戻った。

 そして、エミールと立ったままで向かい合った。

 挑戦的な態度と見られてしまっても仕方ない。エミールはここで何を伝えられるのかと、とても不安そうだ。

 私だって、本当はやりたくないのだけど……これをしないままで居たら、絶対に後悔してしまうから。

「こういうことは……中途半端に隠していても仕方ないから、はっきり聞くわ。エミール」

「……はい」

「実はついこの前に与えられた私の能力(ギフト)は、人の恋愛指数を見ることなの」

 真っ直ぐに彼の目を見つめている私に、エミールは戸惑っているようだ。

「恋愛指数……ですか? ……それは」

「恋愛をしている度数というか……恋に落ちている深さを測ることの出来る数値みたいなの。それで、貴方の頭の上にある数字は、かなり低くて……イーディスは最高値なの。エミール」

 エミールは驚いた表情になっていたけれど、あんなにまで上手くイーディスを欺いていたとしたら、それも演技なのかしら?