慌ててしまった私が周囲を見回せば、レストランは食事時を過ぎてしまったからか、沢山居た客がだいぶ減ってしまっていた。

 ……いけない。人が減ったから、私の事に気がついたのかもしれない。

「言ってくれれば良かったのに。今日はこの店は貸し切りをしていてね。君の名前で予約があったと聞いて、僕が特別に許可を出したんだ」

 レンブラント様は私の前の椅子へ腰掛け、こちらへとやって来た給仕に何も要らないことを示すように手を振っていた。

「え……? ですが」

 先ほどまでこのレストランの中は盛況で、貸し切りをしていたとは、とても思えなかった。

 ……しかも、私の名前で予約をしたと聞いて、許可を出してくれたですって?

 状況が掴めず目を瞬かせていれば、レンブラント様は何を考えているか心得ていると言いたげに頷いた。

「会談相手の希望なんだ。このレストランを指名して食事したいと言われたんだが、客が僕らだけでは寂しいと言う。なので、客を装った人員を相当数用意した。つまり、僕たちと君以外は、全て警備担当者だった。驚かせてすまない。リディア」

「……! そうだったのですか」