「……根拠については詳しく言えないけれど、私は浮気相手が居ることを知っているの。だから、出来れば教えて欲しいわ。包み隠さず、ちゃんと言って欲しいの。そうしたら、私も婚約者としてしなければいけないことをするわ」

「リディア様が、婚約者としてしなければいけないこと……ですか……それは、もしかして」

 話の内容を聞き、私の本気さ加減に大きな衝撃を受けたらしいアンドレは息をのんでいた。

 彼だって、わかっているはずだ。たとえまだ婚約中とは言え、不貞は契約違反。それは、婚約解消の原因になり得るのだと。

 覚悟を決めた私の据わった目を見て、これは本気だと、アンドレはようやく気がついたのかもしれない。

「……ええ。だから、貴方に協力を仰ぎたいの。レンブラント様のご予定を、私には教えて欲しいわ。事前にわかるならばその場ではどんな動きをするかも、出来れば、すべてを知っておきたいの」

 動揺しているところにたたみかけるようにこちらの要望を話せば、有能なアンドレは珍しくしどろもどろになって狼狽えていた。