レンブラント様が、誰かに取られない前提だ。

 その彼女とは身分違いで、身分の釣り合う私と結婚はするけれど、隠れて付き合おうとしているのかもしれない。

 もしかしたら……私との結婚後も。

 私はそれに何か言えるような立場ではない。愛されない妻。白い結婚の可能性だってある。

 その時、背筋にゾゾっとしてしまう寒気が通り抜けた。

 嫌。誰にも取られたくない。

 とにかく、私が今すべきことはレンブラント様が恋をしている相手が誰であるか探り出すこと。

 それに、恋愛指数最高値に行くまでの女性がどんなタイプかを知った上での彼の心を取り戻す傾向と対策。

 そう思い至るほどに、婚約者のレンブラント様が好きであることに、この時に私はようやく気がついたのだ。




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 白の魔女が造ったとされる王城は、白亜の石造りで、晴れの日には明るい日光を弾いてきらめきまぶしい。

 色々と覚悟を決めた私は、城の中を颯爽と歩いていた。しかも、本来ならばあまり出入りすることのない執務棟へと向かっていた。