私以外の人が好きだったから、私にはあんなにも冷たかったのかと……。

「……そうなの。だから、あんなにまで冷たかったんだわ。私……どうして、それに気がつかなかったのかしら」

 レンブラント様はそれほど私のことが、好きではないと思って居た。だから、彼のことをとても良いなと思っていた。

 けれど……彼に別な女性が居るかもしれないなんて、考えたこともなかった。

 なんて、私は間抜けなのかしら。

 私とレンブラント様の関係は穏やかで安定していて……彼の心が誰かのものになっているなんて、これまでにまるで思いもしなかったというのに。

「……いえ。リディア。それって、レンブラント殿下が愛人を隠すことが、単に上手いだけだった訳ではないかしら? それにしても、不思議ね……彼はこれまでに女性問題を起こしたこともないというのに、リディアに対し冷たい態度を取るとは言え、変な言い方になってしまうけれど、婚約者に一途な方だと思っていたわ」

 冷たい態度だけれど、婚約者に一途……そうなのだ。私だって、きっとそうなのだろうと思って来た。