「わっ……私の能力(ギフト)ですか!」

 二回目のダンスを終えた時、あまり婚約者に興味を示さないレンブラント様に不意を突かれて、自分でもおかしいくらいに慌ててしまった。

 レンブラント様は何もおかしくない質問をしただけなのに挙動不審になっている私を見て、とても驚いた表情になっていた。

 ああ……し……しまった。

 ここから、何をどう説明すれば『お菓子が賞味期限が切れているか見ればわかる能力』だと、嘘をつくことが出来るの?

 だって、もしその能力(ギフト)ならば、慌てる必要なんて何もないもの。

 十七歳の誕生日にはお祝いの手紙と豪華な花が届いていたけれど、ちょうど公務で多忙だったレンブラント様には未だ会えていなかった。

 オルレニ王国では十七歳以上の人間は、能力(ギフト)を持っていることは当然で、十七歳の誕生日直後には割と話題に出たりする。

 だから、誕生日を過ぎた私に、レンブラント様が、それが気になってしまったことは理解出来る。

 出来るけれど、私はついさっきレンブラント様の恋愛指数が最高値であることを知ってしまい、それからそれについてしか考えられなくなっていた。