学術都市ドミニオリアの誇る広い広い図書館の中は、たくさんの長い机があるけど、ポツンポツンとところどころに座っている人影が見える。
(……大丈夫です。中に居る私のことは気にせずに、勉強を前へ前と進めてください)
「君が良いなら、良いけど……」
遠慮がちにそう言ったディミトリは、生い立ちは複雑であるものの、命を救ってくれた育ての親に恵まれたから元々の性格は優しくて勉強熱心だ。
だからこそ、その後様々な不幸が襲い掛かり、恋する彼女に邪険にされてしまい、報われない現実に闇堕ちしてしまったのである。
ここから先に彼を傷つけることになる聖女アドラシアン、絶対に許さない。絶許。
目の前の数字に集中したのかディミトリはさらさらと書き進め、私は推しの彼の視点に居るというだけなのに、なんとも言えない喜びを感じていた。
好きな人の目からの、視点が見える。普通に生きていて、そんな体験することは絶対にない。
それだけでもこの世界へと転生してきて、良かったと思える。
たとえ、もうすぐ死んでしまっても。
(……大丈夫です。中に居る私のことは気にせずに、勉強を前へ前と進めてください)
「君が良いなら、良いけど……」
遠慮がちにそう言ったディミトリは、生い立ちは複雑であるものの、命を救ってくれた育ての親に恵まれたから元々の性格は優しくて勉強熱心だ。
だからこそ、その後様々な不幸が襲い掛かり、恋する彼女に邪険にされてしまい、報われない現実に闇堕ちしてしまったのである。
ここから先に彼を傷つけることになる聖女アドラシアン、絶対に許さない。絶許。
目の前の数字に集中したのかディミトリはさらさらと書き進め、私は推しの彼の視点に居るというだけなのに、なんとも言えない喜びを感じていた。
好きな人の目からの、視点が見える。普通に生きていて、そんな体験することは絶対にない。
それだけでもこの世界へと転生してきて、良かったと思える。
たとえ、もうすぐ死んでしまっても。



