鋭いヒューには良く当たる占いなんて手は、絶対に使えない。私が彼の危機を知っているという事実に、どういうなんていう言い訳すれば良いのか。

「何かの事情があって、何も……言えないの?」

 私の理由を追求したい欲を抑えてヒューはどう言えば良いか困っている私に対し、助け舟を出すことにしたようだった。

 ヒュー。決して相手を崖っぷちまで追い詰めずに、話のわかる良い男……きっと、彼が付き合う彼女は幸せだろう。そうなのよ。誰だって言いたくないことは、持っているはず。あまり踏み込まないであげて。

「うん……ごめん。ヒュー。秘密にしても良い?」

「……良いよ。誰だって、言いたくないことの一つや二つは、持っているものだ。僕はシンシアの、そういうちょっと変わったところも気に入ってるんだよね」

 ヒューは眼鏡を外して、ガラス部分を救護室備え付けのガーゼで吹いていた。

「ふふ。変わっているのは、ヒューでしょ。けど、ヒューと話していると本当に楽しいから、私も気に入ってるの」

 笑った拍子に不意にズキンと胸が強く痛んで、私は体を丸めた。

「っ……シンシア? 大丈夫?」

「うん……ごめん。一瞬だけ、胸が痛かっただけだから……心配しないでね」

 私は心配そうなヒューを安心させるように、微笑んだ。

 あの……彼と意識を共有することは、もしかしたら私の体に負担を掛けているのかもしれない。

 けど、それで良かった。もうすぐになくなってしまう私の命を使って、少しでもディミトリが助けられるんなら、それで良い。