高さがある馬上から転倒するなんて当たりどころが悪ければ死んでいるだろうとゾッとした恐怖を感じているのか、彼の中に居る私にも、そういう気持ちが伝わって来た。

 けど、ディミトリが聞いた疑問は、もっともだった。彼を待ち受けている危機をなぜ私が知っているのかと、不思議に思っているのも。


(えっと……えっと……えっと、私。私、占いが趣味で!! 良く当たる占いをしたら、ディミトリのことを占ったら、もうすぐ危険があるって未来が見えて!!!)

 なんて、下手な嘘なの。恥ずかしい。

 けど、これ以外にに言い訳が思いつかなかった私が、もうどうにでもなれとやぶれかぶれでそう言えば、ディミトリは幾分戸惑った雰囲気ながらも、私の言ったことに頷いてくれた。

「そうか……俺は流行に疎くて何も知らないが、最近はそんな良く当たる占いがあるんだな」

 え。ちょっと、待って!! ディミトリに嘘をついた私が言うのもなんだけど、そんなに簡単に私の話を信じちゃって大丈夫なの!?

(……うっ……うんっ! そうだよ!)

すんなり信じてもらえて動揺したけど、ここで否定するのは絶対おかしい!