生まれてからこのかた、色んな人から遠巻きにされていただろうディミトリは私のキッパリとした顔面至上主義宣言に、どう反応して良いかわからず完全に引いてしまった様子だった。

 私もきっと異性にこんなことを言われたら、「何言ってんの。こいつ……どうかしたんじゃないの」と思って、千歩先の距離にまで引いてしまうかもしれない。

 けど、だからって、それがどうしたと言うの。

 彼とこんな状況になってしまったからには、なんでこうなったのかと理由を見つけどうにか言い逃れしなければならない。

 何からどうやって説明すれば良いのかわからない転生者であるという身分を隠す方が、私にとっては何よりも急務なのだ。

「ええ。貴方の顔が好きな私には、リズウィン様に対し害を与えるような気など全くありません。そして、この恋心が報われたいなどと大それたことを思ったりもしません! ですので、かげながら好きでいることをどうかお許しください!」

「……ど……どうぞ」

 最愛の推しが間近に居るという非現実感から、やたらと押しを強くした私に、ディミトリはたじろいで複雑な表情になりつつ何度か頷いた。