私は小説を読んでからディミトリファンになっている訳だから、小説では文字で想像するしかない。正直に言えば、最初は彼の顔はとてもテンプレなイケメンを想像していた。

 作者の先生だって当たり前の話なんだけど、ラスボスディミトリよりは、ヒロインと結ばれる完璧ヒーローのエルヴィン側の描写に力を入れる訳で。

 けど、書籍化アニメ化に先立ち神絵師がキャラクターデザインをしたディミトリは、本当に私の理想に近しい造形だったのだ。

 すぐ隣に、彼の顔がある。

 ああ。なんて、美形で完成され整った顔なのかしら。本当に好き。中身だって好きなんだけど、それはここで言う訳にもいかないし。

「え? 何を、言ってるんだ……俺の顔が? 大丈夫か? 正気なのか?」

「ええ……そうです。リズウィン様に流れている血は、私本人がダークエルフに何か悪いことをされた訳でもないので、特に気にしません。気になる理由は、顔です! 私、顔面至上主義者なので!」

「そ……そうなのか」