「ごめん……でも、すごく心配で……私の下手な嘘にも、すぐ騙されるから」

「あの……ごめん。それは俺もすぐに解けば良かった誤解なんだけど、シンシアが何度か嘘をついて何かを誤魔化したかったのはわかったから、俺も話を合わせようと思っただけだよ」

「そうだったの!?」

 私のことをすごく純粋に信じていた、めちゃくちゃ自然な演技だったよ!?

「うん。シンシアが何かを隠しているのは、知ってた。俺のことをおかしいくらい好きなのは、きっと何か……俺には理解できない訳があることはわかってた」

「ディミトリ……ごめんなさい。私、貴方のこと、救いたくて……きっと、信じてもらえないと思うけど」

 なんて言えば良い? 前世で好きだった作品の中で、貴方はとても可哀想だったからって? 説明の仕方が全然わからない。

「うん……俺はシンシアの言うことなら、わかりやすい嘘を言われても……それを事実だと思おうと思うくらい……君が好きなんだ。何でも信じるから。何でも言えば良いよ」

「……本当に?」

 ディミトリって、そうだった。度重なる不幸で闇堕ちしても、多くの手下にも懐の大きさで慕われるんだった。そういうところも……好きだけど。

 私は目の前で恥ずかしそうに微笑んで頷く彼が、どんな理由も超越してしまうくらいに世界で一番に好きなんだ。