今とてもセンシティブなことを聞かれたような気がするけど、彼もそういえば転生しているはずなので、同じ立場なのだから仕方ないのかもしれない。

「……そうよ。確かラスボスのディミトリ中心に、本編が補完されると言う外伝でしょう? 私はディミトリが最愛の推しで、絶対に読みたかったんだけど……」

 思わず言葉を止めてしまったのは、スティーブがにやにやとした嫌な笑いを顔に浮かべたからだ。

 良くわからない気持ち悪さ。何……? この人だって、アドラシアンのことが好きだから、この世界に転生していたんだよね?

「だからあんなにも、人目もはばからずディミトリ・リズウィンとイチャついてるって訳ねー。なるほどねー……」

 顎に手を当ててうんうんと自分だけ納得するような彼に、私は正直カチンと来た。

「……ちょっと。良くわからないことを、言わないでよ。言いたいことがあるなら、さっさと言って。あ。私の手紙も返して」

 重ねて盗んだ手紙を返して欲しいと言っても、スティーブはふんと馬鹿にしたように鼻で笑って肩をすくめた。