どうしてもそこが気になってしまった私がそう聞いた時に、悲しそうな表情をしていた彼は驚いてかぽかんとした顔になった。

 以前、エセルバードはジュリアスと母の二人が婚約者だったと聞いた。けど、父である王に望まれたから、ジュリアスは一人残されてたのだと。

「……いいえ?」

「……え?」

 私たち二人は同じような不思議そうな顔をして、見つめ合っているのかもしれない。

 頭の中に『?』があふれる私はジュリアスはエセルバードのお母さんが好きだったからこそ、貴重なイケオジ独身を貫いていたんだと思っていたんだけど……?

「あの……何故、そう思われたか、聞いても?」

「エセルバードが……この前、言っていたんです。父から乞われて是非にと結婚した王妃さまは、ジュリアスの婚約者だったのだと……だから、ジュリアスは色恋沙汰も聞いたことがないって」

 こんなにも素敵な人で独身だと言うことは、片っ端から誘いを断っているという事でしょ……?