「すみません。私は元の世界に戻れば、何も持って帰ることが出来ないので、こうして見ているだけなんです」
それは、召喚されてすぐに神官さんからあった説明の時に聞いていた。召喚されたあの時あの場所へと、私は帰ることが出来るはずだ。
来る前と、寸分変わることのない姿で。
「ああ……ですが、聖女様……もしかして、これが気になりますか?」
店長が取り出して見せてくれたのは、私がなんとなくじっと見ていた古い木の小箱だった。
「あ。そうなんです。他と違うなって……これって、何なんですか?」
古ぼけた木の箱は薄汚れて見えて、近くに並べられたピカピカに磨かれた金属製の小物の中で唯一異彩を放っていた。
それをじっと見ていた理由は、異世界からやって来た異分子の自分の姿を重ね合わせていたせいなのかもしれない。
「強い護りの魔法が掛けられた指輪が、入っているはずなんですけどね。私も何かになればと思って仕入れたのですが封印されていて、まったく手が出せません。もし良かったら、聖女様……これは、差し上げますよ」
「えっ……けど、私……」
自慢ではないけど、本当に無一文なのだ。
それは、召喚されてすぐに神官さんからあった説明の時に聞いていた。召喚されたあの時あの場所へと、私は帰ることが出来るはずだ。
来る前と、寸分変わることのない姿で。
「ああ……ですが、聖女様……もしかして、これが気になりますか?」
店長が取り出して見せてくれたのは、私がなんとなくじっと見ていた古い木の小箱だった。
「あ。そうなんです。他と違うなって……これって、何なんですか?」
古ぼけた木の箱は薄汚れて見えて、近くに並べられたピカピカに磨かれた金属製の小物の中で唯一異彩を放っていた。
それをじっと見ていた理由は、異世界からやって来た異分子の自分の姿を重ね合わせていたせいなのかもしれない。
「強い護りの魔法が掛けられた指輪が、入っているはずなんですけどね。私も何かになればと思って仕入れたのですが封印されていて、まったく手が出せません。もし良かったら、聖女様……これは、差し上げますよ」
「えっ……けど、私……」
自慢ではないけど、本当に無一文なのだ。



