だから、彼女の息子のエセルバードのことを頼まれれば、ジュリアスは断れないのだと。

「ああ。お前は知らないだろうが……ジュリアスは元々母の婚約者だったんだ。だが、父から是非王妃にと乞われてな……母は父と結婚した。それ以来、奴は色恋沙汰は聞いたことがない。皆、母が好きだったのだろうと言っていたがな。あれだけ大きな子どもが居たのだから、とっくに振り切っていたということだろう」

 珍しく頭を使っている様子のエセルバードの話も、私にとっては衝撃的な内容過ぎて何も入って来なかった。

「私……もう、寝ます。おやすみなさい」

「そっ……そうか」

 唐突に挨拶をした私に驚いたエセルバードはその後も何かもごもご言っていたようだけど、私は聞こえなかったふりをしてすぐさま扉を閉めた。