祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

 今の時代を生きる私たちは、絶対周囲から浮きたくないし、目立ちたくない。大人から告げられる自分を持て個性を持てなんて、ただの罠で綺麗事だ。

 それをして、しんどそうな人はたくさん見てきた。

 だから、私たちは同じような考えをして、同じような会話をしていることが最善の処世術。それが楽しいとかは、別に大事なことでもない。

 楽しそうな振り、皆と同じ考えの振り。

 だって、集団の中に居る異分子だと思われたら、爪弾きにされるじゃん。絶対そんなの嫌だよ。

 良くないなって思うことでも、無関係で見ない振り。だって、それを指摘したら次は自分がどんな目に遭わされるか。

 一番大事なのは周囲の皆と同じ画一的な存在であり、強い主張なんて持たずに適当にへらへらしてて、心からの胸の内なんて誰にも見せる訳ない。

 本音を偽り合う関係性が、一番安心出来るから。

「ああ……聖女様は本音を言い合える相手が居なくて、寂しかったんですか」

「そんなことはっ……」

 ないと言いかけて、片目からぽろっとこぼれ落ちた涙に自分が一番驚いた。

 友達? たくさん居るよ。

 けど、表面的なことしか言えない。