祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

 団長はエセルバードがテントの外に出て彼の荒い足音が聞こえなくなるのを確認してから、何も言えなかった私へと意味ありげに微笑んだ。

「女性のテントへ了承もなしに入ってくるとは……元の姿に戻れば長時間の説教ですね」

「……だ、団長? あの……」

「ああ。聖女様。僕のことは、どうかジュリアスとお呼びください。この国では子が父の名前を受け継ぐことも、良くありますので」

 あ。私の世界でも、父親と同じだから息子はなんとかジュニアみたいなお名前もあるものね。この異世界でも、そういう文化はあるらしい。

「ジュリアス……さん?」

 おそるおそるで私が名前を呼べば、彼は苦笑して首を横に振った。

「どうか、お気軽にジュリアスとお呼びください。聖女様は尊きご身分ですし、ちょうど僕はこれまで団長と呼ばれていましたから、そのまま名前で呼んで差別化が出来ればと思います」

 あ……そっか。若い姿の時に団長って呼んでしまうと良くないから?

「では、ジュリアス……その、何故さっきエセルバード……殿下に私の『祝福』について、何も言わなかったんですか?」