祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

 そりゃそうだよ! それって若返った本人なんだもん!

 私は心の中でスリッパで頭を叩いてエセルバードにツッコミを入れたくなる衝動と戦っている中で、団長は素知らぬ顔をしてしれっと頷いた。

「母は僕を一人で産み育てました……僕の存在を父が知ったのは、最近のことです」

 形の良い唇からよどみなくすらすらと出てくる嘘に、私の前では素敵で温厚な姿しか見せていない団長の持つ老獪さを感じた。

「ふんっ……人には偉そうな説教をしていた癖に、あいつもただの男だったということか。もう良いっ……いや、待て。そこのお前が、本当にジュリアスの代わりになるのか」

 馬鹿王子も団長が居ないと、この旅が無事には済まないことは理解しているらしい。息子に代わりが出来るのかと確認するように聞いたので、団長は大きく頷いた。

「……僕は父と同等程度の能力は持っています。でなければ、あの人は殿下を残して城へは帰りません」

「それもそうか……それならば、別に良い」

 いきなり現れたエセルバードは勝手なことを言い残し、来た時と同じように唐突に去っていった。