祝福のキスで若返ったかつての英雄に、溺愛されることになった聖女は私です!~イケオジ騎士団長と楽勝救世の旅と思いきや、大変なことになっちゃった~

 さっき聖剣が落ちた溝は、そんなに深くはなさそう。テスカトリポカの動きは見るからにかなり鈍って来ていて、かなり弱っては来ているんだと思う。怖いけど、やるしかない!

 こちらの状況を知ってか知らずか、騎士団の皆さんはこちらと離れた場所に移動し、攻撃している彼らが向かえばテスカトリポカの恐ろしい顔は向こうへ向く。

 私はどうにかして刺激しないように、なるべく足音を立てずに早歩き。何故かって? こっちの高価な靴は、素材のせいか音が鳴ってしまうから!

 さっき聖剣が落ちていった溝へと私は手を突っ込み、そろそろとかき回した。とても嫌だけど仕方ない。聖剣がないと世界が滅ぶ。

 私は剣の柄っぽい物を掴み、ほっと息をついた。

 それはまがうことなく、剣の柄。かなり古いけど、美しい文様も描かれた芸術的な物だった。

 目を閉じて唇をそっと近づけると、光が瞬き美しい剣へと元通りになった……元通りになったっていうか、剣が放つ光が尋常でなくて眩しいんだけど?

「……由真! すみません! その聖剣を貸してください!」

 いきなり近くでジュリアスの声がして、私は彼に剣を渡そうとした。