「……へえ、この辺か」
俺の視線を辿ったんやろう、指で示さずとも、柳瀬はその場所に気づいたようや。
それを聞いてどうするんや。そんなことを考える間もなく、柳瀬はズボンのポケットに手を突っ込んだまま、ひょいひょいと階段を下りていく。
嫌な――予感がした。
柳瀬がなにをしようとしているのか、頭よりも先に騒めく胸が察知する。
柳瀬は一番下まで下りる。柵がない海を目前に、長い足をコンクリートの地面から海に伸ばす。
やめろ。なんで、なんでお前が、お前ばっかり――。
「やめっ――」
「やめてぇっ!!」
俺が急いで立ち上がり走り出した時やった、俺よりも早く、柳瀬の元に駆けつけた一つの影。
流れるような漆黒のストレートロングヘアー。声を聞かんかったら、春歌と勘違いしていたかもしれん。
学校でしか会うはずがないその人は、柳瀬の腕にしがみつくようにして、地面に引き止めていた。
これは一体どういう状況なんか、理解できん俺は、少し離れた場所で立ち止まって二人を眺めるしかない。
その間に柳瀬は一歩前に出していた足を引っ込め、地に足をつけた。相変わらず柳瀬の腕にしがみついたままの彼女は、俯いた状態で小刻みに震えていた。授業する時と同じ、シンプルなカットソーとパンツ姿。
「……なんで、先生までここにおるん?」
茫然と質問を投げかける俺に、柳瀬は自由になる方の手で浅井先生を指差した。
「不良の生徒指導、俺が死ぬんを阻止する悪人」
柳瀬にそう言われた先生は、ハッとして顔を上げると、ようやく前方に見える俺の存在に気づいたらしい。弾かれたように柳瀬から離れると、気まずそうに目を逸らす。だけどそれは一瞬のことで、すぐに俺に視線を戻すと、教師の顔つきで口を開いた。
俺の視線を辿ったんやろう、指で示さずとも、柳瀬はその場所に気づいたようや。
それを聞いてどうするんや。そんなことを考える間もなく、柳瀬はズボンのポケットに手を突っ込んだまま、ひょいひょいと階段を下りていく。
嫌な――予感がした。
柳瀬がなにをしようとしているのか、頭よりも先に騒めく胸が察知する。
柳瀬は一番下まで下りる。柵がない海を目前に、長い足をコンクリートの地面から海に伸ばす。
やめろ。なんで、なんでお前が、お前ばっかり――。
「やめっ――」
「やめてぇっ!!」
俺が急いで立ち上がり走り出した時やった、俺よりも早く、柳瀬の元に駆けつけた一つの影。
流れるような漆黒のストレートロングヘアー。声を聞かんかったら、春歌と勘違いしていたかもしれん。
学校でしか会うはずがないその人は、柳瀬の腕にしがみつくようにして、地面に引き止めていた。
これは一体どういう状況なんか、理解できん俺は、少し離れた場所で立ち止まって二人を眺めるしかない。
その間に柳瀬は一歩前に出していた足を引っ込め、地に足をつけた。相変わらず柳瀬の腕にしがみついたままの彼女は、俯いた状態で小刻みに震えていた。授業する時と同じ、シンプルなカットソーとパンツ姿。
「……なんで、先生までここにおるん?」
茫然と質問を投げかける俺に、柳瀬は自由になる方の手で浅井先生を指差した。
「不良の生徒指導、俺が死ぬんを阻止する悪人」
柳瀬にそう言われた先生は、ハッとして顔を上げると、ようやく前方に見える俺の存在に気づいたらしい。弾かれたように柳瀬から離れると、気まずそうに目を逸らす。だけどそれは一瞬のことで、すぐに俺に視線を戻すと、教師の顔つきで口を開いた。
