リビングに行くと、今仕事から帰ってきたばかりなのかスーツ姿のお母さんが買い物袋の中身を冷蔵庫に移している途中だった。
「ああ、帰ってきたの」
私に気づいたお母さんは私を一瞥だけすると、すぐに作業に戻ってしまった。
逃げるように自室にこもり、はあと深くため息を吐き出しながらその場にしゃがみ込む。
いつからだろう。お母さんの前だとうまく息ができなくなったのは。声が出せなくなったのは。
「…更新しないと」
むくっと起き上がり、ベッドの上に座りながらスマホで小説サイトを開く。
友達もいなくて毎日家にいることから自作小説を書くことだけが私の唯一の生きがいだった。
きっかけは小学生の頃の夏休みに、任意で原稿用紙四枚を使って自分で考えた小説を書くという宿題で暇だったからやってみたところ、最優秀賞を取れたのだ。
任意だったしそもそもやった人が少なかったのもあるのだろうけど、それでも初めて何かを認めてもらえた気がして嬉しくて、それから小説サイトを使ってはちょいちょい小説を書いてアップしている。
小説だけが私の息抜きで居場所である。
「…!……!」
どのくらい没頭して小説を書いていたのか、ふと階下から聞こえてきた怒鳴り声にびくっと肩を揺らす。
「ああ、帰ってきたの」
私に気づいたお母さんは私を一瞥だけすると、すぐに作業に戻ってしまった。
逃げるように自室にこもり、はあと深くため息を吐き出しながらその場にしゃがみ込む。
いつからだろう。お母さんの前だとうまく息ができなくなったのは。声が出せなくなったのは。
「…更新しないと」
むくっと起き上がり、ベッドの上に座りながらスマホで小説サイトを開く。
友達もいなくて毎日家にいることから自作小説を書くことだけが私の唯一の生きがいだった。
きっかけは小学生の頃の夏休みに、任意で原稿用紙四枚を使って自分で考えた小説を書くという宿題で暇だったからやってみたところ、最優秀賞を取れたのだ。
任意だったしそもそもやった人が少なかったのもあるのだろうけど、それでも初めて何かを認めてもらえた気がして嬉しくて、それから小説サイトを使ってはちょいちょい小説を書いてアップしている。
小説だけが私の息抜きで居場所である。
「…!……!」
どのくらい没頭して小説を書いていたのか、ふと階下から聞こえてきた怒鳴り声にびくっと肩を揺らす。



