「約束だよ」

太陽のように眩しく笑うあの子がずっと、世界で一番大嫌いだった–––。




夏休みまで残り三週間。

やっとテストも終わり、夏休み後にある文化祭の準備が本格的に始まってきていた。


「きゃー!誰、こんなところに看板立てかけたのぉー!半乾きだから莉子(りこ)のスカートについちゃったじゃん!」


朝の騒々しい教室の中で、一際高い声が入口から聞こえてきてふと視線を向けると、今にもパンツが見えてしまいそうなくらい短いスカートを両手で広げながら百瀬(ももせ)莉子が半泣きしていた。


「あ、わりぃ。朝早く来て塗った看板、入口で乾かしてたんだよ」

「もう最悪!なんでこんなところに置いとくの!?セーターにもついちゃったし!」


黒板の前で友達と話していたクラスメイトの男子が、怒る百瀬さんに悪い悪いと手を合わせて謝っていた。

百瀬さんは腰に巻いていたセーターとスカートをウェットティッシュで拭きながら、男子生徒を睨みつけている。

入口の横に立てかけられている看板の“1C”という青い文字が滲んでしまっているけど、そのことにはお構いなしの様子だ。


「洗ってきた方が早いんじゃない?看板の補修は私がしとくから、莉子はトイレに行ってきな」

「えーん、ゆりゆりありがとう〜!」