彼氏と偽彼女(ダミー)とオレの事情


3人でたい焼きを食べながら話をしている

亜湖:「ずっと気になってたんだけど、二人がお互い一目惚れしたのってどういう状況だったんだ?」

ヒロと駿は顔を見合わせる

恥ずかしそうにしているヒロを見て駿が得意げに説明した


亜湖:「へー、じゃヒロはやっぱり駿の顔が好きなんだな。他は? どこがいいんだ?」

ヒロ:「えーと、その……」

二人は期待してヒロに詰め寄る

ヒロ:「……っ」

業者:「すみませ~ん」

ヒロ:「あ、業者の人が呼んでる。オレ行って来るわ」

ヒロは急いで二階へ上がる

亜湖:「逃げたな!」

駿:ズーン

亜湖:「どうした?」

駿:「薄々気付いてはいたけど、やっぱりヒロはオレの顔だけが好きなのかも…
キラキラとか言ってオレの顔見ていつも真っ赤になって…」

亜湖:は! こいつヒロの何を見てんだ?

亜湖:「そうかもな、だって駿は顔だけだもんな」

駿:ズーーン

亜湖:こいつ からかうと面白いな

駿:やっぱりそうなのかな…昔から顔で人は寄ってくるけど、オレのどんくさいとことか、
中身知って離れていく人も多いんだ。ヒロももしかしたら…

そこへヒロが戻ってくる

ヒロ:「駿、どうかしたのか?」

駿:「…なんでもないよ」

ヒロ:なんでもないわけあるか!
キラキラどころか黒いモヤで覆われてっぞ!

ヒロ:「ねーちゃん! 駿に何言ったんだ!!」

亜湖:「別に~、駿の顔がいいって言ってただけだけど」

ヒロ:「ホントか?」

亜湖:「ホントだって、なあ駿」

駿:「…うん」

ヒロ:「そうか、そうだよな…オレこんなキラキラかっこいい人初めて見たもん」

自分で言ってカーっとまた赤くなるヒロ

駿:!! やっぱり顔…

業者:「すみませ~ん」

また業者が呼ぶ

ヒロ:「あ、ちょっとごめん」

急いで2階に上がるヒロ

駿:ズーーーン

どす黒いオーラを放つ駿

亜湖:ちょっといじめ過ぎたか?

亜湖:「まあそんなに落ち込むな! 駿は優しいし仲間思いのとこもあるぞ」

駿:「亜湖ぉ~」

亜湖は立ち上がって駿に近付き、どす黒いオーラを手で払い除ける

ヒロ:「おいっ! 何してんだ!!」

帰って来たヒロは駿と亜湖の距離が近いことに驚き慌てる

亜湖:「修理は?」

ヒロ:「終わった、業者も帰った。で、何やってたんだよ!」

亜湖:「駿がさ、ヒロが自分のこと顔だけしか好きじゃないって落ち込んでたから
慰めてやってたんだよ」

ヒロ:は~~!!?

ヒロ:「ちょっと来い!」

ヒロは駿の腕を掴み自分の部屋へ連れて行く
そして壁に駿を追い詰める

駿:「ヒロ?」

ヒロ:「駿、ねーちゃんをあんま近付けさすなよ! 触らせたりすんじゃねーよ!」

駿:え?! それって…

駿:「それってヤキモチ?」

ヒロ:「…っ、そうだよっ! だって駿はオレの彼氏だろ?!」

駿:「ヒロ、オレのこと好き?」

ヒロ:「…好きだよ」

顔を真っ赤にしながらも素直に答えるヒロ

駿:「顔だけじゃなくて?」

ヒロ:「は? 何言って…」

駿:「どこが好き? ちゃんと言って」

駿はヒロの腕を必死で掴み不安そうな顔

ヒロ:どうしたんだ? オレの態度が不安にさせてる?

ヒロ:「わかった、今から駿の好きなとこ言うからちゃんと聞いてろ」

ヒロは真っ赤な顔で、それでもちゃんと真っすぐ駿を見た

ヒロ:「一目惚れしたんだからまず顔! そしてキラキラ王子なのにちょっとドジなとこや、
ぽあぽあした雰囲気を醸し出す安心感。友達思いなところ、頭もいいところ、そしてなにより
こんなオレのことを好きになってくれてオレのコンプレックスごと受け入れてくれる器の大きいとこ。
オレは駿と一緒にいると、自分のことが好きになれる。そんな駿だからオレは好きなんだ!」

駿:「ヒロ!!」

駿は思い切りヒロを抱きしめる

駿:「ありがとうヒロ、オレもヒロのすぐ真っ赤になる顔もホクロも、恥ずかしがるところも、
それでいていざとなるとこうやって男らしくなるとこも全部好き」

駿:やばい! かっこいい!! どうしょう…オレ、ヒロのこと知れば知るだけ好きになってる

駿はなんとか理性を保とうと必死に耐えていた

そんな二人が思いを伝えあっているのを、ドアの向こうで聞き耳をたて悶えている亜湖がいた