彼氏と偽彼女(ダミー)とオレの事情



屋上

駿:「昨日カラオケ行ったんだって?」

ヒロ:「なんでそれ…」

駿:「亜湖が言ってた。昨日はオレ参考書買いに行って一緒に帰れなかったし、
オレもヒロとカラオケ行ってみたいな…」

ヒロ:参考書…

ヒロ:「…駿、将来弁護士目指してるってホントか?」

駿:「え! あっ…うんそう」

ヒロ:「すごいな、オレなんてまだ何がしたいか何にもわかんねー」

駿:「焦ることないよ、ヒロはまだ高1なんだしゆっくり考えていけばいいよ」

余裕のある顔でヒロの肩に手を乗せる駿

ヒロ:「そう…だよな」

ヒロ:てか、ひとつしか違わねーじゃん
なんだろう……なんでオレこんなイライラしてるんだ
駿は大人っぽくてキラキラしてて、みんなに人気があって…頭良くて将来やりたいことも決まってて…
それに比べてオレは…
なんでこんなに自信がないんだ

駿:「ヒロ?」

ヒロが考え込んでいるのを心配する駿

ヒロ:「……」

言葉が出てこないヒロ

ヒロ:駿と二人きりがこんなに気まずいなんて…
こんな時に限ってなんでねーちゃんは来ないんだ?!






今日も家のソファーで伏せっているヒロ

亜湖:「ただいま」

ヒロ:「ねーちゃん! 今日の昼休みどこ行ってたんだよ」

亜湖:「何? どうした?」

ヒロ:「いや…いつも覗いてんのに来なかったから」

亜湖:「ヒロ~何、寂しかったの?」

亜湖はヒロに抱きつく

ヒロ:「うぜぇ、そんなんじゃない」

亜湖:「今日の昼は推しの配信があって忙しかったんだ。でも私がいなかったら
駿とイチャイチャし放題だろ」

ヒロ:「別にイチャイチャなんて…」

複雑そうな顔をするヒロの頭をポンと叩く亜湖

亜湖:「どうしたんだよヒロ、駿となんかあった? ケンカでもしたのか?」

ヒロ:「ケンカなんかしてねーし」

亜湖:「ふーん…まっ、なんかあったらいつでも聞いてやるよ」

ヒロ:「ねーちゃんには言わねーよ」

亜湖:「まーたまたヒロったら」

そう ふざけながらもヒロの様子を気にする亜湖だった









駿:ヒロの様子が最近おかしい…なんとなく避けられてるような気がする
亜湖にも気をつけるように釘をさされてしまった

駿:「ヒロ、何かあったなら言ってくれないか?」

一緒に帰りながらヒロから聞き出そうとする駿

ヒロ:「……」

駿:「ヒロが元気ないとオレどうしたらいいかわかんないよ」

ヒロ:「……ごめん」

駿:「謝ってほしいんじゃないんだ」

ヒロ:「……」

目を合わそうともしないヒロに駿は苛立つ

駿:「言ってくんなきゃわかんないよっ!!」

そこへ陸が通りかかる

陸:「駿? どうした? 駿が声を荒げるなんて珍しいじゃん」

陸を見たヒロはその場を立ち去ろうとする

駿:「ヒロ待って! ……あっ、」

ヒロを追いかけようとした駿はつまづく
それをとっさに陸が支える
駿の声を聞いて振り返るヒロ
すると駿は陸に抱きしめられていた

ヒロ:…っ

走り出すヒロ
追いかけようとする駿の腕を掴んでいる陸

駿:「陸 離して」

陸:「いやだ!」

駿:え?!

陸:どうしたんだ駿、様子が変だ!

みるみるヒロの後ろ姿が小さくなっていく
慌てて大声で叫ぶ駿

駿:「ヒロっ!!!」

ヒロはビクっとしたが、振り返らず行ってしまった
その場にしゃがみ込む駿

陸:「なんであの子にそんなに必死になるんだ?」

駿:……っ、

駿:「オレは…オレは亜湖と付き合ってるんじゃない! ヒロと付き合ってるんだ!!
オレはヒロが好きなんだ!!」

陸:なんだって!!?

衝撃を受けている陸を置いて走り出す駿



校門を出たヒロは一人の男に話しかけられる

篠原(しのはら):「よう、成瀬」

ヒロ:! ……っ、

ヒロ:最悪な時によりによって一番会いたくないやつに会ってしまった

篠原:「おまえ、相変わらずそんな恰好してんのな」

ヒロ:……っ、

篠原:「かわいいホクロが見れなくて残念だわ」

篠原はガムを噛みながら、ニヤニヤ ヒロの顔をジロジロ見ている
ヒロの顔色がどんどん悪くなっていく
そこへ駿が走ってくる

駿:「ヒローっ!」

駿に気付いたヒロはいたたまれず走り出す
ヒロと一緒にいた篠原を気にしつつ、駿はヒロを追いかける

ヒロ:あいつ…なんでここに…

ヒロは二人から逃げるように必死に走っていた

駿:ハァハァハァっ……
追いつけない…ヒロ足早すぎ