彼氏と偽彼女(ダミー)とオレの事情


そこへ駿が現れる

駿:「こんなとこで何してんの?」

いつもの爽やか笑顔はまるでなく、明らかに不機嫌な駿

ヒロ:「あ…えーと…」

駿はヒロの頭に付いている枯れ葉を取った

陸:「ばったり会ったからちょっと話してただけだ」

陸にそう聞いても納得がいかず、ムッとしてヒロの手を掴む駿

駿:「陸、先に学食行ってて。オレ、ヒロと少し話してから行くから」

陸:「わかった」


駿はヒロを屋上に連れて行く

ヒロ:駿…なんだか機嫌悪い?

ヒロ:「おい、どうしたんだよ」

屋上のドアを開けた途端

駿:「どうしただって? なんでヒロはあいつに触らせてんの?」

声を荒げる駿

ヒロ:「触らせてな…」

ヒロの言葉を遮り駿はヒロを抱きしめた

ヒロ:「駿?」

駿:「ここ最近、オレとは顔も合わせてくれなくて…探してたら陸と…」

ヒロ:「ご、誤解だ!!」

ヒロ:ん? いや…避けてたのは本当だけど…

ヒロ:「ご、ごめん…そんなつもりじゃなくて」

駿:「オレも…ごめん。ヒロに会えなくて寂しくて…」

ヒロ:「……」

駿:「今日一緒に帰れる?」

ヒロ:「うん」

駿:「甘い物でも食べに行こ」

ヒロ:「あ…悪い、今日はちょっと腹の調子が…」

駿:「え!? 大丈夫」

ヒロ:「そんなたいしたことない…」

ヒロ:駿は何も変わっちゃいない…ただオレが後ろめたいだけ
ついこの前まで駿の隣にいれれば幸せだった
でも、陸の気持ちを知ってからオレの中で何かがズレてきた
なんだろう…ずっと隠し持ってたオレの卑屈な部分
根底はそこにあると思う





家のソファーでクッションを頭に抱え伏せっているヒロ

ヒロ:考えれば考えるだけ落ち込んでくる

亜湖:「ヒロなにしてんだ?」

亜湖はヒロの抱えてるクッションを剥ぎ取る

ヒロ:「べ、別に…」

あきらかに様子のおかしいヒロを不思議そうに見ている亜湖






学校
誰もいない渡り廊下を見ているヒロ

小林:「成瀬」

ボーっとして呼ばれてるのに気付かない

小林:「成瀬!」

ヒロ:「え! 何?」

小林:「なんかあった?」

ヒロ:「いや…」

言いづらそうに口ごもるヒロ

小林:「…よし、今日の帰りカラオケ行こうぜ」

ヒロ:「は?」

小林:「なんかしらんけど、パーっと大声出したらまた気分も変わるかもしんねーじゃん」

ヒロ:小林…

光莉:「なになに? カラオケ? 私も行きたい!」

小林:「よし、みんなで盛り上がるぞ」





カラオケで小林と光莉が楽しそうに歌ってる横で、ヒロはジュースを飲んでいた

小林:「ほら成瀬も立って! 一緒に歌うぞ」

小林に腕を引っ張られて渋々だが歌い始めるヒロ

ヒロ:たぶん小林も駒沢もオレが落ちてんのわかってる
それでこーやって元気付けようとしてくれて…
そういうとこ昔から変わんねーな
二人はやっぱりオレの大切な友達だ