夜空に雷鳴が響き、城の空気は重く張り詰めていた。澪の胎内に宿る命は、ここ数日不穏な鼓動を刻み続けていた。時折、腹の奥から冷たい手に掴まれるような痛みが走り、澪は蒼嵐の胸に縋るしかなかった。
「……これは、雪蓮の仕業に違いない。」
蒼嵐は低く呟き、その瞳に決意の炎の宿す。
「呪胎の気配だ。澪、お前と子を守るため、俺は彼女と止めねばならぬ。」
澪は不安に揺れる瞳を彼に向けた。
「でも、……兄弟なのに。私が産むはずの命を奪おうとするなんて。」
「もはや雪蓮に血の情はない。あるのは執念と嫉妬のみだ。」
やがて、城の大広間に異様な気配が満ちた。雪蓮が現れたのだ。白装束に身を包み、その手には呪符と赤黒い霧を宿した珠を抱えていた。瞳は狂気に濁り、かつての面影は消えている。
「蒼嵐様……その女など不要です。私こそ、あなたにふさわしい花嫁……!」
叫びと同時に、雪蓮は珠を砕いた。瞬間、澪の腹を締めつけるような激痛が走り、彼女は膝を折りそうになる。黒い霧が大広間を覆い、壁に掛けられた燭台の光が一斉に消えた。
「澪!」
蒼嵐が支えるが、澪は苦しげに首を振り、必死に腹を守ろうと両手に重ねる。
「……まだ……生きてる。この子は、負けてない……!」
その瞬間、澪の身体から柔らかな光が放たれた。母となる力が胎を守るかのように輝き、雪蓮の放った呪気と衝突する。光と闇が渦を巻き、床が軋み、大広間全体が震えた。
「……澪、俺と力と重ねろ!」
蒼嵐が剣を抜き、光の中にその刃を差し込む。二人の力が一つになった時、胎の鼓動が強く響き渡り、光は一層激しく燃え上がった。
「ありえない……!胎児ごときが…私の呪いに抗えるはずが……!」
雪蓮の悲鳴が響き、大広間の空気が裂ける。澪の中の命が、母の力と共に応えるように強く輝いた。いよいよ避けられぬ運命の歯車が回り始めた。
「……これは、雪蓮の仕業に違いない。」
蒼嵐は低く呟き、その瞳に決意の炎の宿す。
「呪胎の気配だ。澪、お前と子を守るため、俺は彼女と止めねばならぬ。」
澪は不安に揺れる瞳を彼に向けた。
「でも、……兄弟なのに。私が産むはずの命を奪おうとするなんて。」
「もはや雪蓮に血の情はない。あるのは執念と嫉妬のみだ。」
やがて、城の大広間に異様な気配が満ちた。雪蓮が現れたのだ。白装束に身を包み、その手には呪符と赤黒い霧を宿した珠を抱えていた。瞳は狂気に濁り、かつての面影は消えている。
「蒼嵐様……その女など不要です。私こそ、あなたにふさわしい花嫁……!」
叫びと同時に、雪蓮は珠を砕いた。瞬間、澪の腹を締めつけるような激痛が走り、彼女は膝を折りそうになる。黒い霧が大広間を覆い、壁に掛けられた燭台の光が一斉に消えた。
「澪!」
蒼嵐が支えるが、澪は苦しげに首を振り、必死に腹を守ろうと両手に重ねる。
「……まだ……生きてる。この子は、負けてない……!」
その瞬間、澪の身体から柔らかな光が放たれた。母となる力が胎を守るかのように輝き、雪蓮の放った呪気と衝突する。光と闇が渦を巻き、床が軋み、大広間全体が震えた。
「……澪、俺と力と重ねろ!」
蒼嵐が剣を抜き、光の中にその刃を差し込む。二人の力が一つになった時、胎の鼓動が強く響き渡り、光は一層激しく燃え上がった。
「ありえない……!胎児ごときが…私の呪いに抗えるはずが……!」
雪蓮の悲鳴が響き、大広間の空気が裂ける。澪の中の命が、母の力と共に応えるように強く輝いた。いよいよ避けられぬ運命の歯車が回り始めた。



