「はあああ!」
ザシュ、ザシュ。
「「「グギャー!」」」
私がルーカス様のところに合流してから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
森から溢れる魔物をとにかく倒していき、その数が徐々に少なくなってきた。
それでも、私は集中力を切らすことなくミスリル製の剣を握りしめて魔物を切り捨てた。
以前にも害獣駆除の際にミスリル製の剣の試し斬りをしたが、本当に魔物を手ごたえなく切り捨てていた。
あまりにも切るという手ごたえがなくて以前は少し怖かったが、今はその手ごたえのなさが疲労軽減にも繋がっている。
「動きの素早い魔物の数が少なくなってきた。もう少しで、魔物の群れを全て討伐できる。最後まで気を抜かずに倒しきるぞ!」
「「「おー!」」」
ルーカス様も的確な指示を兵に出しており、怪我をするものはかなり少なくなった。
それでもルーカス様は気を緩めることなく兵に指示を出しており、兵もその声に応えていた。
ルーカス様の側にいるスラちゃんも相変わらず酸弾と魔法を織り交ぜた正確な長距離狙撃を行なっており、その手腕はルーカス様も驚く程だった。
「ウォン、ウォン!」
「シルバ、ありがとう。この気配は私も覚えているよ」
銀色の毛並みを魔物の返り血で真っ赤に染めながら、シルバはある気配が近づいてくると教えてくれた。
私もその気配と一度対峙したことがあるので、直ぐに何の気配かが分かった。
探索魔法を使って杜の中を確認すると大きな反応は三十あり、そのうち一つの反応がとても大きかった。
逆を言うと、この三十の反応を倒せば大方の魔物を倒すことにもなる。
私は、探索魔法の結果をルーカス様に即時伝えた。
「ルーカス様、オークの群れを確認しました。数は三十で、うち一頭はオークキングです」
「リン、了解だ。オークキングの群れが動いたから、これだけ大規模な魔物溢れが起きたのだな」
私とルーカス様、それに一部のベテラン兵は先日遭遇したオークの群れの件があるので何となくどんなものかが分かっていた。
しかし、軍に入って経験の浅い新兵はオークだけでなくオークキングの群れが現れたと知って思わず顔色を悪くしながら震えていた。
昔、当時の王子が率いる部隊がオークの群れによって全滅した事を知っているからだ。
しかし、私とルーカス様に焦りはなかった。
「もう、昔とは違うぞ。オークも、複数で確実に攻撃すれば倒せる。新兵は、死にたくなかったら必ずベテラン兵の指示に従うように」
「「「はっ、はい!」」」
ルーカス様は、新兵を勇気付ける様に的確な指示を出した。
それに、私たちならオークを単独撃破できる。
特に、オーク肉が美味しいと知っているシルバとスラちゃんはかなりやる気になっていた。
ぴょこぴょこ。
そして、スラちゃんはルーカス様の側から私の側に移動して、魔鉄製の剣を貸してとアピールしてきた。
私も、スラちゃんなら問題なく魔鉄製の剣を振るえると確信したので、腰に下げていた剣を抜いてスラちゃんに渡した。
ザッ、ザッ。
「「「ブモー!」」」
程なくして、森から三十頭のオークの群れが姿を現した。
私達を格下と見ているのか、ニヤリといやらしい顔をしていた。
「グモー!」
そして、一際体が大きいオークキングは、案の定私のことをターゲットにしたようだ。
でも、狩る側と狩られる側は反対ですよ。
「下手に突っ込むな、リンたちの攻撃に巻き込まれる。討ち漏らしだけ対応すればいい」
ルーカス様は前回の私たちの戦いを見ているので、オークキングの討伐を任せてくれた。
兵も的確に陣形を整えたところで、私たちはオークの群れよりも素早く動いた。
「ウォーン!」
グジャッ、グジャッ!
ザシュ、ザシュ!
ドサッ、ドサッ。
「「「な、なんだ。何が起きているんだ?」」」
シルバは一鳴きして思いっきり跳躍し、着地と同時にオークの頭を踏み潰した。
スラちゃんは魔鉄製の剣で魔法剣を発動し、次々とオークの首を切り落とした。
叫び声も上げる間もなくオークが倒れていく様子に、新兵は信じられない表情で目の前の戦闘を見ていた。
「せい!」
シュッ、ズバッ!
「グガー!」
私は、オークキングの両手首をミスリル製の剣で切り落とした。
前回オークキングを対峙した際は魔鉄製の剣だったけど、流石はミスリル製の剣というべきだろう。
オークキングの肉体を、難なく切り落としていた。
私はこの戦いに時間を掛けるつもりはないので、一気に決着を図った。
シュイン、シュイン、シュイン。
「はああ!」
ダッ、シュッ。
「……」
ドサッ。
私は魔力を込めたミスリル製の剣を跳躍しながらオークキングの首めがけて振るった。
オークキングは、叫ぶ事すら叶わずにその首を落として倒れた。
しかし、私は勝利の余韻に浸る間もなく残ったオークを倒していった。
こうして、オークとの戦闘は結果的に僅か数分で決着を迎えた。
「ルーカス様、ほぼ周囲の反応はありません」
「オークキングがいれば、周囲の魔物や動物はかなり警戒するだろう。逆に言えば、当分は大丈夫だ」
私とルーカス様は、お互いに顔を見合わせた。
私は、シルバとスラちゃんとも顔を合わせてこくりと頷いた。
そして、ルーカス様は剣を突き上げながら高らかに宣言した。
「勝どきを上げろ! 我々の勝利だ!」
「「「うおー!」」」
「ウォーン!」
兵も拳を突き上げており、シルバも勝利の遠吠えをしていた。
スラちゃんも、触手を可愛らしく上げていた。
オークの群れが引き起こした魔物溢れは、私たちの勝利で幕を落とした。
ザシュ、ザシュ。
「「「グギャー!」」」
私がルーカス様のところに合流してから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
森から溢れる魔物をとにかく倒していき、その数が徐々に少なくなってきた。
それでも、私は集中力を切らすことなくミスリル製の剣を握りしめて魔物を切り捨てた。
以前にも害獣駆除の際にミスリル製の剣の試し斬りをしたが、本当に魔物を手ごたえなく切り捨てていた。
あまりにも切るという手ごたえがなくて以前は少し怖かったが、今はその手ごたえのなさが疲労軽減にも繋がっている。
「動きの素早い魔物の数が少なくなってきた。もう少しで、魔物の群れを全て討伐できる。最後まで気を抜かずに倒しきるぞ!」
「「「おー!」」」
ルーカス様も的確な指示を兵に出しており、怪我をするものはかなり少なくなった。
それでもルーカス様は気を緩めることなく兵に指示を出しており、兵もその声に応えていた。
ルーカス様の側にいるスラちゃんも相変わらず酸弾と魔法を織り交ぜた正確な長距離狙撃を行なっており、その手腕はルーカス様も驚く程だった。
「ウォン、ウォン!」
「シルバ、ありがとう。この気配は私も覚えているよ」
銀色の毛並みを魔物の返り血で真っ赤に染めながら、シルバはある気配が近づいてくると教えてくれた。
私もその気配と一度対峙したことがあるので、直ぐに何の気配かが分かった。
探索魔法を使って杜の中を確認すると大きな反応は三十あり、そのうち一つの反応がとても大きかった。
逆を言うと、この三十の反応を倒せば大方の魔物を倒すことにもなる。
私は、探索魔法の結果をルーカス様に即時伝えた。
「ルーカス様、オークの群れを確認しました。数は三十で、うち一頭はオークキングです」
「リン、了解だ。オークキングの群れが動いたから、これだけ大規模な魔物溢れが起きたのだな」
私とルーカス様、それに一部のベテラン兵は先日遭遇したオークの群れの件があるので何となくどんなものかが分かっていた。
しかし、軍に入って経験の浅い新兵はオークだけでなくオークキングの群れが現れたと知って思わず顔色を悪くしながら震えていた。
昔、当時の王子が率いる部隊がオークの群れによって全滅した事を知っているからだ。
しかし、私とルーカス様に焦りはなかった。
「もう、昔とは違うぞ。オークも、複数で確実に攻撃すれば倒せる。新兵は、死にたくなかったら必ずベテラン兵の指示に従うように」
「「「はっ、はい!」」」
ルーカス様は、新兵を勇気付ける様に的確な指示を出した。
それに、私たちならオークを単独撃破できる。
特に、オーク肉が美味しいと知っているシルバとスラちゃんはかなりやる気になっていた。
ぴょこぴょこ。
そして、スラちゃんはルーカス様の側から私の側に移動して、魔鉄製の剣を貸してとアピールしてきた。
私も、スラちゃんなら問題なく魔鉄製の剣を振るえると確信したので、腰に下げていた剣を抜いてスラちゃんに渡した。
ザッ、ザッ。
「「「ブモー!」」」
程なくして、森から三十頭のオークの群れが姿を現した。
私達を格下と見ているのか、ニヤリといやらしい顔をしていた。
「グモー!」
そして、一際体が大きいオークキングは、案の定私のことをターゲットにしたようだ。
でも、狩る側と狩られる側は反対ですよ。
「下手に突っ込むな、リンたちの攻撃に巻き込まれる。討ち漏らしだけ対応すればいい」
ルーカス様は前回の私たちの戦いを見ているので、オークキングの討伐を任せてくれた。
兵も的確に陣形を整えたところで、私たちはオークの群れよりも素早く動いた。
「ウォーン!」
グジャッ、グジャッ!
ザシュ、ザシュ!
ドサッ、ドサッ。
「「「な、なんだ。何が起きているんだ?」」」
シルバは一鳴きして思いっきり跳躍し、着地と同時にオークの頭を踏み潰した。
スラちゃんは魔鉄製の剣で魔法剣を発動し、次々とオークの首を切り落とした。
叫び声も上げる間もなくオークが倒れていく様子に、新兵は信じられない表情で目の前の戦闘を見ていた。
「せい!」
シュッ、ズバッ!
「グガー!」
私は、オークキングの両手首をミスリル製の剣で切り落とした。
前回オークキングを対峙した際は魔鉄製の剣だったけど、流石はミスリル製の剣というべきだろう。
オークキングの肉体を、難なく切り落としていた。
私はこの戦いに時間を掛けるつもりはないので、一気に決着を図った。
シュイン、シュイン、シュイン。
「はああ!」
ダッ、シュッ。
「……」
ドサッ。
私は魔力を込めたミスリル製の剣を跳躍しながらオークキングの首めがけて振るった。
オークキングは、叫ぶ事すら叶わずにその首を落として倒れた。
しかし、私は勝利の余韻に浸る間もなく残ったオークを倒していった。
こうして、オークとの戦闘は結果的に僅か数分で決着を迎えた。
「ルーカス様、ほぼ周囲の反応はありません」
「オークキングがいれば、周囲の魔物や動物はかなり警戒するだろう。逆に言えば、当分は大丈夫だ」
私とルーカス様は、お互いに顔を見合わせた。
私は、シルバとスラちゃんとも顔を合わせてこくりと頷いた。
そして、ルーカス様は剣を突き上げながら高らかに宣言した。
「勝どきを上げろ! 我々の勝利だ!」
「「「うおー!」」」
「ウォーン!」
兵も拳を突き上げており、シルバも勝利の遠吠えをしていた。
スラちゃんも、触手を可愛らしく上げていた。
オークの群れが引き起こした魔物溢れは、私たちの勝利で幕を落とした。


