ガチャ。
「失礼する」
「お邪魔するのじゃ」
「じゃー」
もうそろそろ時間になるというタイミングで、何故かルーカス様、マリア様、ニース様が控室に姿を現した。
ルーカス様は如何にも王子様といった青色を基調とした品の良い貴族服を着ているけど、肩や色々なところに装飾が施されているから王家の正装なのだろう。
マリア様も、薄いピンク色のドレスに控え目なアクセサリーを身に着けていた。
王家といえども、結婚式なので新婦に配慮をしているのだろう。
ニース様も、小さな男の子用の貴族服を身に着けていた。
とはいえ、三人は結婚式という晴れ舞台で笑顔なのが一番の印象だった。
すると、最初にルーカス様が私たちに挨拶をしてきた。
「皆様、本日は我が兄とアメリアの結婚式に参加頂き感謝申し上げる」
「こちらこそ、晴れの舞台にお招き感謝申し上げる」
ノルディア公爵が代表してルーカス様ににこやかに返事をし、私たちも集まった王家に一礼をしていた。
マリア様にも挨拶をしたが、ニース様はノルディア公爵嫡男夫婦の孫と共にシルバの事をもふもふしていた。
シルバに群がる小さな子ども達を愛でていたら、いつの間にかルーカス様が私の側に来ていた。
「リン、来てくれてありがとう。今日は見違える程良く似合っているよ」
「ルーカス様、ありがとうございます。ルーカス様も、今日の衣装は良く似合っていますわ」
私はニコリとしながらルーカス様に返事をしたが、流石にこのくらいは言われても普通に返事ができるくらいルーカス様の王子様スマイルに耐性がついた。
すると、フレイア様がニヤニヤしながらルーカス様に話しかけてきた。
「おやおや、従妹の私を差し置いてリンの容姿を褒めるとはね。随分とお熱いことで」
「フレイヤも言うようになったな。まあ、このくらいは言うよ」
ルーカス様は思わず首をすくめていたけど、そんな私たちのやり取りをノルディア公爵夫妻と嫡男夫妻が温かく見守っていた。
そして、ルーカス様は私に本題を伝えてきた。
「リン、悪いがスラちゃんを貸してくれ。この後ニースがフラワーボーイをするのだが、念の為にスラちゃんにサポートしてもらう事にした」
「スラちゃんも、頑張ると言っています。シルバも手伝いたいと言っています」
「ははは、そうか。シルバは実質的にアーサーとアメリアの結婚を決定つける働きをしたから、ニースの手伝いをしても問題はないだろう」
「ウォン!」
シルバもやる気満々な声を上げていたが、基本的にはニース様に付き添っていれば任務をこなせる。
それに、フェンリルというある意味凶悪な存在がニース様の近くにいるので、護衛という観点でも十分に役目を果たせる。
正直なところ、シルバよりもスラちゃんの方が強いし賢いんだけどね。
大教会の中に入ったら係のシスターが声をかけるそうなので、その時にシルバとスラちゃんが向かえば大丈夫らしい。
「わんわーん」
「あぶー」
「ウォン」
そもそも、ニース様と赤ちゃんが満面の笑みでシルバに抱き着いているので、ここで引きはがすのは酷だろう。
その辺は、ルーカス様とマリア様も重々承知していた。
すると、マリア様が少しげんなりしながら私とフレイア様にあることを話してきた。
「リン、フレイア、先ほど例の四家のところに行ったのだが、非常識にも程がある服装だったのじゃ。ルーカスお兄様も怒りを堪えるので精一杯だったのじゃ。ニースが四家のところにいたくないと言ったので直ぐに控室を出たのじゃが、普通の貴族なら王家を馬鹿にしているとしか捉えられないぞ」
「「……」」
マリア様の言いたいことが、私とフレイア様は痛いほど分かってしまった。
そして、何となく四家の貴族一家がどんな服装をしているのか想像できてしまった。
しかし、本人たちは至極当然の服装をしたと思っているのだからたちが悪い。
大教会の中で四家の貴族一家がどんな服装をしているのか見る事ができるので、ある意味楽しみにしておこう。
「では、そろそろ時間だ。後ほどまた会おう」
「ニースも行くぞ。シルバに、カッコいいカゴを見せてやらなければならぬぞ」
「はーい」
ルーカス様の合図で王家の方々は控室を出るのだが、ニース様は楽しみがあるので素直にシルバのところから離れていった。
そして控室を出ていく王家の方々を頭を下げながら見送った後、ノルディア公爵がボソッと言葉を漏らした。
「あの馬鹿貴族は、王太子様の結婚式の時にも張り切って非常識な服装をしていた。その時も、王家の方々から注意を受けていた」
何となくだけど、結婚式後にあの四家が馬鹿な事を引き起こすのではないかと思ってしまった。
私は、最低限自分の身は自分で守ろうと誓ったのだった。
「失礼する」
「お邪魔するのじゃ」
「じゃー」
もうそろそろ時間になるというタイミングで、何故かルーカス様、マリア様、ニース様が控室に姿を現した。
ルーカス様は如何にも王子様といった青色を基調とした品の良い貴族服を着ているけど、肩や色々なところに装飾が施されているから王家の正装なのだろう。
マリア様も、薄いピンク色のドレスに控え目なアクセサリーを身に着けていた。
王家といえども、結婚式なので新婦に配慮をしているのだろう。
ニース様も、小さな男の子用の貴族服を身に着けていた。
とはいえ、三人は結婚式という晴れ舞台で笑顔なのが一番の印象だった。
すると、最初にルーカス様が私たちに挨拶をしてきた。
「皆様、本日は我が兄とアメリアの結婚式に参加頂き感謝申し上げる」
「こちらこそ、晴れの舞台にお招き感謝申し上げる」
ノルディア公爵が代表してルーカス様ににこやかに返事をし、私たちも集まった王家に一礼をしていた。
マリア様にも挨拶をしたが、ニース様はノルディア公爵嫡男夫婦の孫と共にシルバの事をもふもふしていた。
シルバに群がる小さな子ども達を愛でていたら、いつの間にかルーカス様が私の側に来ていた。
「リン、来てくれてありがとう。今日は見違える程良く似合っているよ」
「ルーカス様、ありがとうございます。ルーカス様も、今日の衣装は良く似合っていますわ」
私はニコリとしながらルーカス様に返事をしたが、流石にこのくらいは言われても普通に返事ができるくらいルーカス様の王子様スマイルに耐性がついた。
すると、フレイア様がニヤニヤしながらルーカス様に話しかけてきた。
「おやおや、従妹の私を差し置いてリンの容姿を褒めるとはね。随分とお熱いことで」
「フレイヤも言うようになったな。まあ、このくらいは言うよ」
ルーカス様は思わず首をすくめていたけど、そんな私たちのやり取りをノルディア公爵夫妻と嫡男夫妻が温かく見守っていた。
そして、ルーカス様は私に本題を伝えてきた。
「リン、悪いがスラちゃんを貸してくれ。この後ニースがフラワーボーイをするのだが、念の為にスラちゃんにサポートしてもらう事にした」
「スラちゃんも、頑張ると言っています。シルバも手伝いたいと言っています」
「ははは、そうか。シルバは実質的にアーサーとアメリアの結婚を決定つける働きをしたから、ニースの手伝いをしても問題はないだろう」
「ウォン!」
シルバもやる気満々な声を上げていたが、基本的にはニース様に付き添っていれば任務をこなせる。
それに、フェンリルというある意味凶悪な存在がニース様の近くにいるので、護衛という観点でも十分に役目を果たせる。
正直なところ、シルバよりもスラちゃんの方が強いし賢いんだけどね。
大教会の中に入ったら係のシスターが声をかけるそうなので、その時にシルバとスラちゃんが向かえば大丈夫らしい。
「わんわーん」
「あぶー」
「ウォン」
そもそも、ニース様と赤ちゃんが満面の笑みでシルバに抱き着いているので、ここで引きはがすのは酷だろう。
その辺は、ルーカス様とマリア様も重々承知していた。
すると、マリア様が少しげんなりしながら私とフレイア様にあることを話してきた。
「リン、フレイア、先ほど例の四家のところに行ったのだが、非常識にも程がある服装だったのじゃ。ルーカスお兄様も怒りを堪えるので精一杯だったのじゃ。ニースが四家のところにいたくないと言ったので直ぐに控室を出たのじゃが、普通の貴族なら王家を馬鹿にしているとしか捉えられないぞ」
「「……」」
マリア様の言いたいことが、私とフレイア様は痛いほど分かってしまった。
そして、何となく四家の貴族一家がどんな服装をしているのか想像できてしまった。
しかし、本人たちは至極当然の服装をしたと思っているのだからたちが悪い。
大教会の中で四家の貴族一家がどんな服装をしているのか見る事ができるので、ある意味楽しみにしておこう。
「では、そろそろ時間だ。後ほどまた会おう」
「ニースも行くぞ。シルバに、カッコいいカゴを見せてやらなければならぬぞ」
「はーい」
ルーカス様の合図で王家の方々は控室を出るのだが、ニース様は楽しみがあるので素直にシルバのところから離れていった。
そして控室を出ていく王家の方々を頭を下げながら見送った後、ノルディア公爵がボソッと言葉を漏らした。
「あの馬鹿貴族は、王太子様の結婚式の時にも張り切って非常識な服装をしていた。その時も、王家の方々から注意を受けていた」
何となくだけど、結婚式後にあの四家が馬鹿な事を引き起こすのではないかと思ってしまった。
私は、最低限自分の身は自分で守ろうと誓ったのだった。


