あっという間に、大教会の前にこの前も見て乗ったノルディア公爵家の豪華な馬車が到着した。
そして、馬車の中からかなり慌てた様子のフレイア様が姿を現した。
「王太子妃様、ノルディア公爵家フレイア参上しました。あの馬鹿どもが、リンに喧嘩を売ったと聞きましたが……」
「フレイア、忙しい所済まないわね。アメリアもシルバも激怒するレベルだったらしいわよ。今後、少しでも問題行動を起こしたらアーサーとアメリアの結婚式も出禁にしないと駄目だわ」
「どうして、あの貴族家は自分の事ばかり考えて他人の事を考える事ができないのかしら。頭の中が、クリームでできているに違いないわ」
フレイア様と王太子妃様は、互いに四人の貴族令嬢をけちょんけちょんに言っていた。
どうやら、あの四家は他にも大迷惑をかけているみたいで、貴族の間では迷惑もので有名だったらしい。
「フレイア様、急なお願いとなり本当に申し訳ございません」
「リン、このくらいは公爵家の者として当然のことよ。リンに喧嘩を売るということは、ルーカスの事を抜きにしても王家と軍に加えてリンに関係のある貴族家に喧嘩を売る事になるわ。ハッキリ言って、あの四家が一瞬にして消滅してもおかしくないわ」
フレイア様、だから私はそこまで凄い人物じゃないですよ。
でも面倒くさい事になっているのは間違いないし、ここは王国ナンバーワン貴族家のお世話になることにした。
奉仕活動自体も殆ど終わっているので、ノルディア公爵家の馬車に乗って冒険者ギルド経由で宿に行き事情を説明した。
「おお、そんな事になっているのか。あの貴族家は庶民を平然と馬鹿にするから、国民の評判もすこぶる悪いぞ」
宿の主人も、私の周りで起きていることを直ぐに理解してくれた。
そういえば、あの四人の貴族令嬢は私の事を平民の貧乏人って罵っていたよね。
因みに、部屋は前金を払っているので暫くの間キープしてもらうことになった。
こうして色々な手続きを終え、私たちは再びノルディア公爵家の馬車に乗って目的地であるノルディア公爵家へと向かったのだった。
そして客室を用意してもらう間、私達は応接室に案内された。
「リン、娘が世話になっているみたいね。それにしても、あの貴族家は本当に各貴族家に迷惑をかけているのよ。少し前は、我が家の嫡男に令嬢を送り込もうとしていたのよ」
私の前には髪の毛がロングヘア以外はフレイア様そっくりのノルディア公爵夫人が座っているのだけど、ここでも恨み言が止まらなかった。
つまり、あの貴族家は手当たり次第に嫁を上位貴族に送り込もうとしていて、今のターゲットがルーカス様って事らしい。
上位貴族は、例の四家が訪問して来たら門前払いするレベルだという。
下級貴族にとっても相手をしたくないレベルなのだから、本当に酷い貴族家なのだろうな。
「それに王家直々の依頼ですし、グローリー公爵家と同じくリンの後見人になるのは我が家にとってもとても有益な事なのよ。町の人の人気者であるリンと親しい貴族であるのは、町の人が我が家を見る目も変わってくるのよ」
フレイア様と見た目がそっくりでも、ノルディア公爵夫人はやはり大貴族のご夫人という考え方だった。
まあ、私がアメリアさんとフレイア様と仲良くしているのは教会の中にいた人が見ているし、私がノルディア公爵家にお世話になるのも知っている。
二大公爵家が私の後ろについている事は、想像以上に大きいことだった。
コンコン。
「失礼いたします。客室の用意ができました」
「そう、ありがとうね。アメリア、リンを連れて行くように」
「はい、お母様」
使用人がノルディア公爵夫人に客室の件で伝えたので、私はフレイア様と使用人の後をついて行った。
そして、程なくしてある部屋の前に着いた。
ガチャ。
「リン、悪いわね。我が家の来客の関係で一番狭い客室なのよ」
「いえ、その、かなり広い部屋ですけど……」
「ウォンウォン!」
目の前に広がっているのは、まるでホテルのスイートルームみたいな豪華な部屋だった。
部屋の中に風呂もトイレもあり、寝室と応接室もついていた。
これで一番狭い客室だなんてと思うと、改めてノルディア公爵家が大貴族だと思い知ったのだった。
シルバは広い部屋に大興奮していたが、直ぐにスラちゃんがシルバの頭を触手で叩いて注意していた。
「じゃあ、夕食になったら声をかけるから暫く待っててね」
ガチャ。
あっ、アメリア様があっという間に部屋から出てしまった。
とりあえず、ソファーに座って少し休憩しよう。
「はあ、流石に色々ありすぎて疲れた……」
気をずっと張っていたのか、一気に疲れが押し寄せてきた。
これからどうなるのか、正直なところ分からなかった。
ただ分かっているのは、あんないい加減な貴族令嬢にルーカス様は任せられないって事だった。
明日軍に行く予定だし、その際にルーカス様に色々話を聞かれるかもしれない。
それでも、キチンと話さないとと思ったのだった。
「すぴー、すぴー」
そして、シルバはというとソファーの上でいつの間にかぐーすか眠っていた。
いつもどこでも変わらない呑気なシルバに、私は少し笑みが溢れたのだった。
そして、馬車の中からかなり慌てた様子のフレイア様が姿を現した。
「王太子妃様、ノルディア公爵家フレイア参上しました。あの馬鹿どもが、リンに喧嘩を売ったと聞きましたが……」
「フレイア、忙しい所済まないわね。アメリアもシルバも激怒するレベルだったらしいわよ。今後、少しでも問題行動を起こしたらアーサーとアメリアの結婚式も出禁にしないと駄目だわ」
「どうして、あの貴族家は自分の事ばかり考えて他人の事を考える事ができないのかしら。頭の中が、クリームでできているに違いないわ」
フレイア様と王太子妃様は、互いに四人の貴族令嬢をけちょんけちょんに言っていた。
どうやら、あの四家は他にも大迷惑をかけているみたいで、貴族の間では迷惑もので有名だったらしい。
「フレイア様、急なお願いとなり本当に申し訳ございません」
「リン、このくらいは公爵家の者として当然のことよ。リンに喧嘩を売るということは、ルーカスの事を抜きにしても王家と軍に加えてリンに関係のある貴族家に喧嘩を売る事になるわ。ハッキリ言って、あの四家が一瞬にして消滅してもおかしくないわ」
フレイア様、だから私はそこまで凄い人物じゃないですよ。
でも面倒くさい事になっているのは間違いないし、ここは王国ナンバーワン貴族家のお世話になることにした。
奉仕活動自体も殆ど終わっているので、ノルディア公爵家の馬車に乗って冒険者ギルド経由で宿に行き事情を説明した。
「おお、そんな事になっているのか。あの貴族家は庶民を平然と馬鹿にするから、国民の評判もすこぶる悪いぞ」
宿の主人も、私の周りで起きていることを直ぐに理解してくれた。
そういえば、あの四人の貴族令嬢は私の事を平民の貧乏人って罵っていたよね。
因みに、部屋は前金を払っているので暫くの間キープしてもらうことになった。
こうして色々な手続きを終え、私たちは再びノルディア公爵家の馬車に乗って目的地であるノルディア公爵家へと向かったのだった。
そして客室を用意してもらう間、私達は応接室に案内された。
「リン、娘が世話になっているみたいね。それにしても、あの貴族家は本当に各貴族家に迷惑をかけているのよ。少し前は、我が家の嫡男に令嬢を送り込もうとしていたのよ」
私の前には髪の毛がロングヘア以外はフレイア様そっくりのノルディア公爵夫人が座っているのだけど、ここでも恨み言が止まらなかった。
つまり、あの貴族家は手当たり次第に嫁を上位貴族に送り込もうとしていて、今のターゲットがルーカス様って事らしい。
上位貴族は、例の四家が訪問して来たら門前払いするレベルだという。
下級貴族にとっても相手をしたくないレベルなのだから、本当に酷い貴族家なのだろうな。
「それに王家直々の依頼ですし、グローリー公爵家と同じくリンの後見人になるのは我が家にとってもとても有益な事なのよ。町の人の人気者であるリンと親しい貴族であるのは、町の人が我が家を見る目も変わってくるのよ」
フレイア様と見た目がそっくりでも、ノルディア公爵夫人はやはり大貴族のご夫人という考え方だった。
まあ、私がアメリアさんとフレイア様と仲良くしているのは教会の中にいた人が見ているし、私がノルディア公爵家にお世話になるのも知っている。
二大公爵家が私の後ろについている事は、想像以上に大きいことだった。
コンコン。
「失礼いたします。客室の用意ができました」
「そう、ありがとうね。アメリア、リンを連れて行くように」
「はい、お母様」
使用人がノルディア公爵夫人に客室の件で伝えたので、私はフレイア様と使用人の後をついて行った。
そして、程なくしてある部屋の前に着いた。
ガチャ。
「リン、悪いわね。我が家の来客の関係で一番狭い客室なのよ」
「いえ、その、かなり広い部屋ですけど……」
「ウォンウォン!」
目の前に広がっているのは、まるでホテルのスイートルームみたいな豪華な部屋だった。
部屋の中に風呂もトイレもあり、寝室と応接室もついていた。
これで一番狭い客室だなんてと思うと、改めてノルディア公爵家が大貴族だと思い知ったのだった。
シルバは広い部屋に大興奮していたが、直ぐにスラちゃんがシルバの頭を触手で叩いて注意していた。
「じゃあ、夕食になったら声をかけるから暫く待っててね」
ガチャ。
あっ、アメリア様があっという間に部屋から出てしまった。
とりあえず、ソファーに座って少し休憩しよう。
「はあ、流石に色々ありすぎて疲れた……」
気をずっと張っていたのか、一気に疲れが押し寄せてきた。
これからどうなるのか、正直なところ分からなかった。
ただ分かっているのは、あんないい加減な貴族令嬢にルーカス様は任せられないって事だった。
明日軍に行く予定だし、その際にルーカス様に色々話を聞かれるかもしれない。
それでも、キチンと話さないとと思ったのだった。
「すぴー、すぴー」
そして、シルバはというとソファーの上でいつの間にかぐーすか眠っていた。
いつもどこでも変わらない呑気なシルバに、私は少し笑みが溢れたのだった。


