そして、元々予定されていたアーサー様とアメリアさんに下賜される予定の屋敷の清掃にやってきた。
お家取り潰しになった元侯爵家の屋敷で、最近まで使用していたのでそこまで汚くないはずだった。
……はずだった。
どよーん。
「な、なにこれ……」
「ウォン……」
何というか、屋敷周辺の空気がよどんでいる感じで屋敷自体もお化け屋敷みたいな異様な感じだった。
歴史ある貴族家の屋敷にしては、ちょっと汚すぎなくないかな。
幸いにして庭木は綺麗に手入れされていたので、手を出さなくても良さそうだ。
そして、私たちは屋敷の中に入った。
「「「リン様、お待ちしておりました」」」
「は、はい……」
「ウォン!」
屋敷の中に入ると、私たちを複数の使用人が出迎えてくれた。
いきなり「様」付けで呼ばれたので私は戸惑ってしまったが、シルバは新しい人に会えて嬉しいみたいだ。
実は、元の屋敷で働いていた使用人の中で問題無い者はそのまま再就職という形で雇用が継続していた。
屋敷の事を良く知っているし、アーサー様もアメリアさんもその方が良いと言っていた。
そして、私は屋敷の中を見渡しながら使用人に確認した。
「あの、この屋敷に生活魔法をかけて綺麗にしたいのですけど、魔法がかかるといけない魔導具などはありますか?」
「その様な危険な魔導具は、この屋敷にはございません。備品の殆どが押収され、明かり用などの必要最低限の魔導具のみとなっております」
罰金の意味合いも兼ねて、この屋敷にあった殆どの備品が国に押収されていた。
犯罪を犯して罰金も払っていないのだから、こればかりはしょうがない。
因みに遺品などの物はキチンと残っているし、捕まらなかった家族は元侯爵夫人の実家に預けられたという。
その結果、この屋敷はとても広いのにもの凄い殺風景な状況となっていた。
因みに、屋敷の中は使用人が日々清掃をしているのでひどく汚れている場所はなかった。
では、生活魔法で一気に屋敷を綺麗にしちゃいましょう。
シュイン、シュイン、シュイン。
「「「えっ!?」」」
久々に本気で魔法を使うので、私は意識を集中しながら魔力を溜めていた。
屋敷の広さを意識して、ついでに外壁も綺麗にするイメージで。
使用人は私の周囲に複数現れた魔法陣を見てビックリしていたが、私はかなり集中していたので全く気にしていなかった。
因みに、シルバとスラちゃんは特に物珍しそうにもせずに私の側にいた。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!
シュイーーーン。
そして、十分に魔力が溜まったところで一気に溜めた魔力を解放した。
何ヵ所か汚れが酷いところがあってかなり苦戦したけど、それでも屋敷中がかなり綺麗になった手ごたえがあった。
実際に、いま私たちがいる玄関ホールや廊下などもピカピカに輝いて見えた。
生活魔法で綺麗にする前は少し薄暗かったから、効果は歴然の差だ。
「ふう、先ずは屋敷全体を生活魔法で綺麗にしました。次は何をすれ……」
「か、確認いたしますので、リン様は応接室で少し休憩して下さいませ」
「あ、はい……」
使用人がバタバタと慌ただしく動き始めたので、私たちは応接室に案内されて少し休むことにした。
どうやら、私が屋敷ごと生活魔法で一気に綺麗にするとは思っていなかったらしく、他に清掃が必要な場所などを手分けして確認するという。
ちょっとやりすぎちゃったかなと思いつつ、一先ず応接室で休憩することにした。
そして、確認を終えた使用人が私に生活魔法を放った結果を教えてくれた。
「その、外観などもかなり綺麗になっておりました。その結果、今まで汚れで気が付かなかった補修部分を見つける事ができました」
「外壁の一部と屋根、それから浴室でしょうか。生活魔法を放っていると、少し汚れが強いところがありました」
「は、はい。屋根は確認できておりませんが、その他はまさにその通りになります。この後、修繕を依頼する予定になります」
どうやら色々な箇所の修繕が確認できたので、今回の生活魔法は中々の効果があったみたいだ。
そういうことなら、屋敷の敷地内にある使用人用の建物や物置なども纏めて生活魔法を使って綺麗にしておこう。
そう思って屋敷の中から外に出ると、今まで幽霊屋敷みたいだった建物の外観が鮮やかなレンガの赤い色になっていた。
おお、これはとても迫力のある光景だ。
パカパカパカ、スタッ。
「ふむ、これは凄いのう。リンの魔法はこんな大きな屋敷を綺麗にするのか」
「リンに清掃を依頼して、本当に良かったわ。空いた時間で、他の事も出来るわね」
「すごーい!」
急に玄関に馬車が停まったと思ったら、何故か馬車の中からマリア様、王太子妃様、ニース様が姿を現したのだ。
そして、綺麗になってピカピカの屋敷を見て感心した様な声を上げていた。
えーっと、何で王家の偉い人がアーサー様とアメリアさんに下賜される予定の屋敷にやってきたのだろうか。
私の疑問への答えは、マリア様がニヤリとしながら教えてくれた。
「兄様とアメリアの屋敷の清掃状況を確認するという名目で、リンの様子を見に来たのじゃ。絶対何かをやらかすと思っていたが、これは予想以上じゃのう」
つまりは、私の仕事ぶりを見に来たことになっているのですね。
はあっと、私は思わず溜息をついてしまった。
「わんわーん!」
「ウォン!」
そして、ニース様は真っ先に大好きなシルバに抱きついていた。
シルバも、予想外のニース様との再会にとても喜んでいた。
お家取り潰しになった元侯爵家の屋敷で、最近まで使用していたのでそこまで汚くないはずだった。
……はずだった。
どよーん。
「な、なにこれ……」
「ウォン……」
何というか、屋敷周辺の空気がよどんでいる感じで屋敷自体もお化け屋敷みたいな異様な感じだった。
歴史ある貴族家の屋敷にしては、ちょっと汚すぎなくないかな。
幸いにして庭木は綺麗に手入れされていたので、手を出さなくても良さそうだ。
そして、私たちは屋敷の中に入った。
「「「リン様、お待ちしておりました」」」
「は、はい……」
「ウォン!」
屋敷の中に入ると、私たちを複数の使用人が出迎えてくれた。
いきなり「様」付けで呼ばれたので私は戸惑ってしまったが、シルバは新しい人に会えて嬉しいみたいだ。
実は、元の屋敷で働いていた使用人の中で問題無い者はそのまま再就職という形で雇用が継続していた。
屋敷の事を良く知っているし、アーサー様もアメリアさんもその方が良いと言っていた。
そして、私は屋敷の中を見渡しながら使用人に確認した。
「あの、この屋敷に生活魔法をかけて綺麗にしたいのですけど、魔法がかかるといけない魔導具などはありますか?」
「その様な危険な魔導具は、この屋敷にはございません。備品の殆どが押収され、明かり用などの必要最低限の魔導具のみとなっております」
罰金の意味合いも兼ねて、この屋敷にあった殆どの備品が国に押収されていた。
犯罪を犯して罰金も払っていないのだから、こればかりはしょうがない。
因みに遺品などの物はキチンと残っているし、捕まらなかった家族は元侯爵夫人の実家に預けられたという。
その結果、この屋敷はとても広いのにもの凄い殺風景な状況となっていた。
因みに、屋敷の中は使用人が日々清掃をしているのでひどく汚れている場所はなかった。
では、生活魔法で一気に屋敷を綺麗にしちゃいましょう。
シュイン、シュイン、シュイン。
「「「えっ!?」」」
久々に本気で魔法を使うので、私は意識を集中しながら魔力を溜めていた。
屋敷の広さを意識して、ついでに外壁も綺麗にするイメージで。
使用人は私の周囲に複数現れた魔法陣を見てビックリしていたが、私はかなり集中していたので全く気にしていなかった。
因みに、シルバとスラちゃんは特に物珍しそうにもせずに私の側にいた。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!
シュイーーーン。
そして、十分に魔力が溜まったところで一気に溜めた魔力を解放した。
何ヵ所か汚れが酷いところがあってかなり苦戦したけど、それでも屋敷中がかなり綺麗になった手ごたえがあった。
実際に、いま私たちがいる玄関ホールや廊下などもピカピカに輝いて見えた。
生活魔法で綺麗にする前は少し薄暗かったから、効果は歴然の差だ。
「ふう、先ずは屋敷全体を生活魔法で綺麗にしました。次は何をすれ……」
「か、確認いたしますので、リン様は応接室で少し休憩して下さいませ」
「あ、はい……」
使用人がバタバタと慌ただしく動き始めたので、私たちは応接室に案内されて少し休むことにした。
どうやら、私が屋敷ごと生活魔法で一気に綺麗にするとは思っていなかったらしく、他に清掃が必要な場所などを手分けして確認するという。
ちょっとやりすぎちゃったかなと思いつつ、一先ず応接室で休憩することにした。
そして、確認を終えた使用人が私に生活魔法を放った結果を教えてくれた。
「その、外観などもかなり綺麗になっておりました。その結果、今まで汚れで気が付かなかった補修部分を見つける事ができました」
「外壁の一部と屋根、それから浴室でしょうか。生活魔法を放っていると、少し汚れが強いところがありました」
「は、はい。屋根は確認できておりませんが、その他はまさにその通りになります。この後、修繕を依頼する予定になります」
どうやら色々な箇所の修繕が確認できたので、今回の生活魔法は中々の効果があったみたいだ。
そういうことなら、屋敷の敷地内にある使用人用の建物や物置なども纏めて生活魔法を使って綺麗にしておこう。
そう思って屋敷の中から外に出ると、今まで幽霊屋敷みたいだった建物の外観が鮮やかなレンガの赤い色になっていた。
おお、これはとても迫力のある光景だ。
パカパカパカ、スタッ。
「ふむ、これは凄いのう。リンの魔法はこんな大きな屋敷を綺麗にするのか」
「リンに清掃を依頼して、本当に良かったわ。空いた時間で、他の事も出来るわね」
「すごーい!」
急に玄関に馬車が停まったと思ったら、何故か馬車の中からマリア様、王太子妃様、ニース様が姿を現したのだ。
そして、綺麗になってピカピカの屋敷を見て感心した様な声を上げていた。
えーっと、何で王家の偉い人がアーサー様とアメリアさんに下賜される予定の屋敷にやってきたのだろうか。
私の疑問への答えは、マリア様がニヤリとしながら教えてくれた。
「兄様とアメリアの屋敷の清掃状況を確認するという名目で、リンの様子を見に来たのじゃ。絶対何かをやらかすと思っていたが、これは予想以上じゃのう」
つまりは、私の仕事ぶりを見に来たことになっているのですね。
はあっと、私は思わず溜息をついてしまった。
「わんわーん!」
「ウォン!」
そして、ニース様は真っ先に大好きなシルバに抱きついていた。
シルバも、予想外のニース様との再会にとても喜んでいた。


