陛下と王太子様との話は無事に終わり、私たちとダイン様は再び大部屋に戻った。
シルバとスラちゃんは一足先にアメリアさんとニース様のところに行く事になり、陛下と王太子様と一緒に行動していた。
陛下は移動しながらさり気なくシルバの毛並みをもふもふしていたけど、ツッコんでは駄目だと何とか堪えた。
「じゃあ、次はこっちだ。厨房の確認だ」
大部屋の確認が終わると、次にダイン様に連れてこられたのは厨房だった。
王城専属の料理人が忙しく料理をしているけど、あれだけの大部屋にたくさんの人が集まるのだから当然なのだろう。
まさに戦場と化している厨房内に、探索魔法を使った。
シュイン、もわーん。
えーっと、王城専属料理人は問題ないけど、食材の方に問題があるみたいだ。
私は、ダイン様にある事を伝えた。
「ダイン様、ステーキ肉が少し傷んでいます。多分、加熱してもお腹を壊すと思いますよ」
「「「なにっ!?」」」
びっ、びっくりした……
ダイン様に話しかけたら、他の料理人も一斉に私を振り返ったのだから。
しかし、ステーキ肉を確認したら料理人の表情が曇ってしまった。
「ちっ、温度管理はどうした! これじゃ、パーティーに出せないぞ!」
「おい、肉の在庫がねーぞ。メインが出せなくてどうするんだ!」
あわわ、厨房が一瞬にして修羅場となってしまった。
スラちゃんなら消化できるレベルなんだけど、特に小さい子が食べると駄目な気がする。
えーい仕方ない、これを提供しよう。
私は、魔法袋からある物を取り出した。
ドン!
「あの、この前倒して解体済みのオーク肉です。これで何とかなりますか? 魔法袋に入れていたので、鮮度はバッチリです」
私は、オーク肉の塊を魔法袋から取り出した。
実は、この前のオークの大群の騒ぎで倒したオークの一部を報酬として貰っていたのだ。
しかし、余りにも大きいしシルバも食べ切れない量だった。
ドーンと塊を提供したが、魔法袋の中にはオーク肉がまだまだたくさん入っていた。
ガシッ。
「嬢ちゃん、ありがとう。これでどうにかなる」
すると、料理人が私の両肩をガシッと掴んでお礼を言ってきた。
何にせよ、これで王家が恥をかく事は無くなった。
ホッと胸を撫で下ろしていると、ダイン様が顎をシャクリながら何かを考えていた。
「妙だな、食料品は厳重に管理されているはずだ。それが肉は傷んでいるし、予備の肉もない」
「在庫帳を確認すれば、何かわかりそうですね」
「それもあるが、その傷んでいる肉の出どころを確認しないとならない。リン、その肉を回収するぞ」
ダイン様は、この傷んだ肉の件は何か仕組まれているのではないかと思っていた。
そして、先ほど詳細な鑑定を行った兵を呼び寄せたところ、とんでもない事が分かった。
「確認いたしました。前日、謁見で処分が通達された三家の所有となっております」
「ちぃ、やはりか。自分たちがアーサー殿下の婚約者候補から外されて大きな処分を受けたから、婚約披露パーティーをぶち壊しにしようとしたんだな」
思っている以上の大事件に発展してしまい、ダイン様も怒り心頭だった。
当然厨房周辺の警備は増強され、更に傷んだ肉をすり替えた件も含めて捜索の手が入った。
勿論陛下にも報告されたが、陛下も怒り心頭だったという。
直ぐ様、三家に対する強制捜査を指示した。
ちなみに、王城の厨房は衛生的にも問題ないのでこのまま料理はお任せになった。
そして、私は再び大部屋に戻ったのだった。
「はあ、疲れた……」
そして、思わず壁際に置かれていた椅子にどっかりと腰掛けてしまった。
まさか、パーティーが始まる前にこんなにも疲れてしまうとは思わなかった。
すると、大部屋に二人の王族が入ってきた。
「リンにまた助けられた。本当に感謝している。あの馬鹿貴族は、単に情報収集で盗聴用の魔導具を設置したらしい。勿論、厳罰の対象になる」
「それよりも、あの馬鹿三家の方が大問題じゃ。王家主催のパーティーを潰そうとした事が、どれ程の罪になるのか分かっておらんようじゃのう。未だに罰金を納めておらぬし、このままだと謀反の疑いありでお家取り潰しになるぞ」
ルーカス様とマリア様がかなり呆れた様子で私に話しかけてきたけど、どうやら盗聴用魔導具を設置した貴族の聴取や強制捜査の準備対応は終わったようだ。
ちなみに、二人ともまだ普段の貴族服とドレスを身に着けていた。
あのプライドだけは激高の三家は、アメリアさんの面子を潰すことだけしか考えていなかったのかもしれない。
視野が狭そうだし、ガツンと処分をしないともう駄目だろうな。
「あと、父上がリンに良くやったと伝えてくれと言っていた。兄上とアメリアの婚約披露パーティーが終わって一通り落ち着いたら、リンに褒美を出すと言っていた」
「まあ、当然じゃな。王家主催のパーティーを守った上に、料理用の素材まで提供しておる。リンは、目の前の事を対応しただけだと思っておるじゃろうがな」
ルーカス様、マリア様、もう褒美はお腹いっぱいです。
これ以上貰ったら、お腹壊します。
それでも、やったことに対する評価は高いらしいので、そこは素直に受け取っておきましょう。
ルーカス様とマリア様はパーティー用の衣装に着替えないとならないので、直ぐに大部屋を出ていった。
そして、私は他の人が大部屋に入ってくるまで思わずぐったりとしていたのだった。
シルバとスラちゃんは一足先にアメリアさんとニース様のところに行く事になり、陛下と王太子様と一緒に行動していた。
陛下は移動しながらさり気なくシルバの毛並みをもふもふしていたけど、ツッコんでは駄目だと何とか堪えた。
「じゃあ、次はこっちだ。厨房の確認だ」
大部屋の確認が終わると、次にダイン様に連れてこられたのは厨房だった。
王城専属の料理人が忙しく料理をしているけど、あれだけの大部屋にたくさんの人が集まるのだから当然なのだろう。
まさに戦場と化している厨房内に、探索魔法を使った。
シュイン、もわーん。
えーっと、王城専属料理人は問題ないけど、食材の方に問題があるみたいだ。
私は、ダイン様にある事を伝えた。
「ダイン様、ステーキ肉が少し傷んでいます。多分、加熱してもお腹を壊すと思いますよ」
「「「なにっ!?」」」
びっ、びっくりした……
ダイン様に話しかけたら、他の料理人も一斉に私を振り返ったのだから。
しかし、ステーキ肉を確認したら料理人の表情が曇ってしまった。
「ちっ、温度管理はどうした! これじゃ、パーティーに出せないぞ!」
「おい、肉の在庫がねーぞ。メインが出せなくてどうするんだ!」
あわわ、厨房が一瞬にして修羅場となってしまった。
スラちゃんなら消化できるレベルなんだけど、特に小さい子が食べると駄目な気がする。
えーい仕方ない、これを提供しよう。
私は、魔法袋からある物を取り出した。
ドン!
「あの、この前倒して解体済みのオーク肉です。これで何とかなりますか? 魔法袋に入れていたので、鮮度はバッチリです」
私は、オーク肉の塊を魔法袋から取り出した。
実は、この前のオークの大群の騒ぎで倒したオークの一部を報酬として貰っていたのだ。
しかし、余りにも大きいしシルバも食べ切れない量だった。
ドーンと塊を提供したが、魔法袋の中にはオーク肉がまだまだたくさん入っていた。
ガシッ。
「嬢ちゃん、ありがとう。これでどうにかなる」
すると、料理人が私の両肩をガシッと掴んでお礼を言ってきた。
何にせよ、これで王家が恥をかく事は無くなった。
ホッと胸を撫で下ろしていると、ダイン様が顎をシャクリながら何かを考えていた。
「妙だな、食料品は厳重に管理されているはずだ。それが肉は傷んでいるし、予備の肉もない」
「在庫帳を確認すれば、何かわかりそうですね」
「それもあるが、その傷んでいる肉の出どころを確認しないとならない。リン、その肉を回収するぞ」
ダイン様は、この傷んだ肉の件は何か仕組まれているのではないかと思っていた。
そして、先ほど詳細な鑑定を行った兵を呼び寄せたところ、とんでもない事が分かった。
「確認いたしました。前日、謁見で処分が通達された三家の所有となっております」
「ちぃ、やはりか。自分たちがアーサー殿下の婚約者候補から外されて大きな処分を受けたから、婚約披露パーティーをぶち壊しにしようとしたんだな」
思っている以上の大事件に発展してしまい、ダイン様も怒り心頭だった。
当然厨房周辺の警備は増強され、更に傷んだ肉をすり替えた件も含めて捜索の手が入った。
勿論陛下にも報告されたが、陛下も怒り心頭だったという。
直ぐ様、三家に対する強制捜査を指示した。
ちなみに、王城の厨房は衛生的にも問題ないのでこのまま料理はお任せになった。
そして、私は再び大部屋に戻ったのだった。
「はあ、疲れた……」
そして、思わず壁際に置かれていた椅子にどっかりと腰掛けてしまった。
まさか、パーティーが始まる前にこんなにも疲れてしまうとは思わなかった。
すると、大部屋に二人の王族が入ってきた。
「リンにまた助けられた。本当に感謝している。あの馬鹿貴族は、単に情報収集で盗聴用の魔導具を設置したらしい。勿論、厳罰の対象になる」
「それよりも、あの馬鹿三家の方が大問題じゃ。王家主催のパーティーを潰そうとした事が、どれ程の罪になるのか分かっておらんようじゃのう。未だに罰金を納めておらぬし、このままだと謀反の疑いありでお家取り潰しになるぞ」
ルーカス様とマリア様がかなり呆れた様子で私に話しかけてきたけど、どうやら盗聴用魔導具を設置した貴族の聴取や強制捜査の準備対応は終わったようだ。
ちなみに、二人ともまだ普段の貴族服とドレスを身に着けていた。
あのプライドだけは激高の三家は、アメリアさんの面子を潰すことだけしか考えていなかったのかもしれない。
視野が狭そうだし、ガツンと処分をしないともう駄目だろうな。
「あと、父上がリンに良くやったと伝えてくれと言っていた。兄上とアメリアの婚約披露パーティーが終わって一通り落ち着いたら、リンに褒美を出すと言っていた」
「まあ、当然じゃな。王家主催のパーティーを守った上に、料理用の素材まで提供しておる。リンは、目の前の事を対応しただけだと思っておるじゃろうがな」
ルーカス様、マリア様、もう褒美はお腹いっぱいです。
これ以上貰ったら、お腹壊します。
それでも、やったことに対する評価は高いらしいので、そこは素直に受け取っておきましょう。
ルーカス様とマリア様はパーティー用の衣装に着替えないとならないので、直ぐに大部屋を出ていった。
そして、私は他の人が大部屋に入ってくるまで思わずぐったりとしていたのだった。


