私たちは、謁見の間に近い応接室に案内された。
応接室に入った途端、一気に緊張の糸が解れてしまった。
私はヘナヘナとソファーに座り込み、用意された紅茶を一口飲んだ。
「嗚呼、紅茶おいしー。癒やされる……」
「リンさん。流石に大げさな気がしますよ……」
緊張から解き放たれた私を見て、アメリアさんは思わず苦笑していた。
でも、あれだけの視線を一身に浴びるのは、中々大変なことです。
「それに、勲章が二つもあるしとても高価そうな剣まで頂きました。流石に貰いすぎな気がします」
「実績もそうですし、王家の方を二人も救ったのですからこれくらいは当然ですわ」
公爵家ご令嬢でもあるアメリアさん曰く、実績以上に救った人が王家なのでもっと褒美を貰っても良いのではと言っていた。
いやいや、私的には貰いすぎていて完全にお腹いっぱいなんですけど……
ガチャ。
「こんちゃ!」
「ウォン!」
すると、使用人に連れられてニース様、シルバ、スラちゃんが応接室に入ってきた。
ニース様とシルバが元気よく挨拶をしていて、思わずほっこりとしてしまった。
そして、ニース様とシルバは仲良く座り始めた。
「シルバ、ニース様に失礼なことをしていないよね?」
「ウォン」
私の質問にシルバは自信満々に答えていたけど、スラちゃんに確認をしても問題ないという。
シルバは相手が小さな子って分かっているので、手加減して相手をしているらしい。
その気配りを、普段私に接している時にもして欲しいよ……
すると、今度はニース様が私とアメリアさんの所にトトトってやって来た。
「あそぼー!」
「ウォン!」
どうやら暇を持て余しているみたいで、普段やっているじゃんけんなどをしてあげた。
流石に追いかけっこはできないけど、それでもニース様は表情豊かにニコニコとしていた。
あー、癒される。
さっきまでのギスギスした視線とは、本当に雲泥の差だ。
ガチャ。
「あっ、おかーさま!」
「あら、楽しそうに遊んでいたのね」
「うん! たのしかったー!」
暫くすると、応接室に王太子妃様がやってきた。
ニース様もニコニコ顔で王太子妃様に抱きついて居たけど、楽しんで貰って何よりです。
連れてアーサー様とルーカス様、それに王太后様とマリア様が応接室に入ってきた。
どうやら、応接室にやってくるのはこの人達で終わりみたいだ。
すると、ルーカス様が私の姿をジロジロと興味深そうに観察していた。
「こうしてキッチリとしたリンは、普段の姿と違って可憐だね。とてもよく似合っているよ」
「あ、ありがとうございます……」
ルーカス様、ニコリと王子様スマイルでとんでもない事を言わないで下さい!
思わず、顔を真っ赤にして下を向いちゃったではないですか!
うう、流石にルーカス様が年下と分かっていても恥ずかしいものは恥ずかしい……
「「ニヤニヤ」」
そして、王太子妃とマリア様、ニヤニヤしながら顔を真っ赤にしている私を見ないで下さい。
アメリアさんと王太后様は、仕方ないといった表情をしていた。
「ニースも、リンは綺麗だと思うよな」
「うん、かっこいー!」
「ははは、かっこいいか。ニースはまだまだ子どもだから仕方ないな」
「うにゅ?」
そして、アーサー様とニース様の漫才みたいなやり取りを見て、思わずほっこりとしてしまった。
えーっと、ここは気持ちを切り替えてっと。
「その、過分な物を頂きありがとうございます。大切にいたします」
「あら、こんなものしか用意できなくて、逆に申し訳ないわ。でも、リンなら直ぐに手柄を立てるでしょうし、別の機会に追加で色々としてあげたいわ」
私が立ち上がってペコリと頭を下げると、王太后様が逆に申し訳なく言ってきました。
いやいや、もうかなり十分な物を頂いていますから。
これ以上何かをするつもりはないし、貰っても手に余りそうだ。
そして、ここで私はある事に気がついた。
「ルーカス様、もしかしてオークキングを倒して王城に帰ってきた時に、陛下に耳打ちをしていたのってこの剣のことですか?」
「リンは本当に洞察力に優れている。陛下に、リンは派手な宝石などを贈るよりも剣などの実用的な物の方が喜ぶと言っておいたのだ。ちなみに、その剣はミスリル製だ」
あの、ルーカス様、色々ツッコミたいのですけど……
まず、私も綺麗な宝石は貰ったらうれしいですよ。
流石に、この前アメリアさんや私に絡んできた令嬢が身につけていた様なド派手な宝石は不要ですけど。
あと、ミスリル製の剣ってとんでもなく高い気がした。
そんな超高価な物を、褒美として私にほいっと贈って良いものなのかと思ってしまった。
すると、アーサー様が呆れながら私に話しかけてきた。
「リンは、もう少し自分が成し遂げた功績を誇ってもいいんだぞ。過去には、オークキング率いる大軍によって王国王子が率いる軍が全滅したこともあった。そこを、軽傷者だけで済ませたのだ。治療して治るレベルなら、兵にとっては大した負傷じゃない」
「そうね、私もそう思うわ。リンは強すぎるから大した事ないと思っているかもしれないけど、私も近衛騎士だからアーサーの言いたいことは良くわかるわ」
王太子妃様にも追撃を受け、ここは私が引き下がることにした。
流石に常にミスリル製の剣を腰から下げるのは危ないので、普段は魔鉄製の剣を下げるようにした。
すると、ルーカス様がソファーから立ち上がって改めて私に頭を下げてきたのだ。
「リン、改めて礼を言う。あの危ない場面を助けて貰い、本当にありがとう」
「る、ルーカス様、頭を上げてください! 既にお礼を言ってもらっていますし、あの場面はオークキングを倒さないと私も死んでいましたし」
「リンは本当に無欲だな。もし貴族令嬢なら、褒美として私の嫁にするようにと言ってくるものだぞ」
け、結婚!?
ルーカス様、また王子様スマイルでとんでもない事を言わないでください。
私はまたもや顔を赤くして下を向いてしまい、王太子妃様とマリア様もまたまたニヤニヤと私とルーカス様のやり取りを見ていた。
すると、その王太子妃様がある事を伝えた。
「そうそう、リンにはアーサーとアメリアの婚約披露パーティーに参加して貰いたいの。結果的に二人の婚約を結びつけたし、王家からも参加して欲しいと思っているわ」
「わーい!」
「ウォン!」
何故か私よりも先にニース様とシルバが王太子様の話を聞いて喜んでいたけど、そんな凄いパーティーに私が参加して良いのかと思ってしまった。
そもそも、別の問題があった。
「あの、私は貴族令嬢ではありませんし、そんな大層なパーティーに参加するだけの服がありません……」
「なら、治療兵の服を着て参加して良いわよ。当日は意外と怪我人とかが出るから、手はあった方が良いのよ」
王太子妃様によって、あっさりと問題が解決してしまった。
ここまで言われて断るのは失礼だし、何よりもアメリアさんの婚約披露パーティーです。
私も、勿論参加したい気持ちはあります。
「そんなに気張らなくて良いわよ。問題を起こした貴族家は呼ばないし、夜会のようなダンスパーティーも行わないわ」
王太后様が問題ないと言ってくれているけど、多数の貴族が来るのは間違いなかった。
私は、会場の隅でひっそりとアメリアさんとアーサー様を祝っていよう。
今日はこれで終わったのだけど、何だか本当に気疲れしてしまった。
慣れない事は、するものではなないですね。
応接室に入った途端、一気に緊張の糸が解れてしまった。
私はヘナヘナとソファーに座り込み、用意された紅茶を一口飲んだ。
「嗚呼、紅茶おいしー。癒やされる……」
「リンさん。流石に大げさな気がしますよ……」
緊張から解き放たれた私を見て、アメリアさんは思わず苦笑していた。
でも、あれだけの視線を一身に浴びるのは、中々大変なことです。
「それに、勲章が二つもあるしとても高価そうな剣まで頂きました。流石に貰いすぎな気がします」
「実績もそうですし、王家の方を二人も救ったのですからこれくらいは当然ですわ」
公爵家ご令嬢でもあるアメリアさん曰く、実績以上に救った人が王家なのでもっと褒美を貰っても良いのではと言っていた。
いやいや、私的には貰いすぎていて完全にお腹いっぱいなんですけど……
ガチャ。
「こんちゃ!」
「ウォン!」
すると、使用人に連れられてニース様、シルバ、スラちゃんが応接室に入ってきた。
ニース様とシルバが元気よく挨拶をしていて、思わずほっこりとしてしまった。
そして、ニース様とシルバは仲良く座り始めた。
「シルバ、ニース様に失礼なことをしていないよね?」
「ウォン」
私の質問にシルバは自信満々に答えていたけど、スラちゃんに確認をしても問題ないという。
シルバは相手が小さな子って分かっているので、手加減して相手をしているらしい。
その気配りを、普段私に接している時にもして欲しいよ……
すると、今度はニース様が私とアメリアさんの所にトトトってやって来た。
「あそぼー!」
「ウォン!」
どうやら暇を持て余しているみたいで、普段やっているじゃんけんなどをしてあげた。
流石に追いかけっこはできないけど、それでもニース様は表情豊かにニコニコとしていた。
あー、癒される。
さっきまでのギスギスした視線とは、本当に雲泥の差だ。
ガチャ。
「あっ、おかーさま!」
「あら、楽しそうに遊んでいたのね」
「うん! たのしかったー!」
暫くすると、応接室に王太子妃様がやってきた。
ニース様もニコニコ顔で王太子妃様に抱きついて居たけど、楽しんで貰って何よりです。
連れてアーサー様とルーカス様、それに王太后様とマリア様が応接室に入ってきた。
どうやら、応接室にやってくるのはこの人達で終わりみたいだ。
すると、ルーカス様が私の姿をジロジロと興味深そうに観察していた。
「こうしてキッチリとしたリンは、普段の姿と違って可憐だね。とてもよく似合っているよ」
「あ、ありがとうございます……」
ルーカス様、ニコリと王子様スマイルでとんでもない事を言わないで下さい!
思わず、顔を真っ赤にして下を向いちゃったではないですか!
うう、流石にルーカス様が年下と分かっていても恥ずかしいものは恥ずかしい……
「「ニヤニヤ」」
そして、王太子妃とマリア様、ニヤニヤしながら顔を真っ赤にしている私を見ないで下さい。
アメリアさんと王太后様は、仕方ないといった表情をしていた。
「ニースも、リンは綺麗だと思うよな」
「うん、かっこいー!」
「ははは、かっこいいか。ニースはまだまだ子どもだから仕方ないな」
「うにゅ?」
そして、アーサー様とニース様の漫才みたいなやり取りを見て、思わずほっこりとしてしまった。
えーっと、ここは気持ちを切り替えてっと。
「その、過分な物を頂きありがとうございます。大切にいたします」
「あら、こんなものしか用意できなくて、逆に申し訳ないわ。でも、リンなら直ぐに手柄を立てるでしょうし、別の機会に追加で色々としてあげたいわ」
私が立ち上がってペコリと頭を下げると、王太后様が逆に申し訳なく言ってきました。
いやいや、もうかなり十分な物を頂いていますから。
これ以上何かをするつもりはないし、貰っても手に余りそうだ。
そして、ここで私はある事に気がついた。
「ルーカス様、もしかしてオークキングを倒して王城に帰ってきた時に、陛下に耳打ちをしていたのってこの剣のことですか?」
「リンは本当に洞察力に優れている。陛下に、リンは派手な宝石などを贈るよりも剣などの実用的な物の方が喜ぶと言っておいたのだ。ちなみに、その剣はミスリル製だ」
あの、ルーカス様、色々ツッコミたいのですけど……
まず、私も綺麗な宝石は貰ったらうれしいですよ。
流石に、この前アメリアさんや私に絡んできた令嬢が身につけていた様なド派手な宝石は不要ですけど。
あと、ミスリル製の剣ってとんでもなく高い気がした。
そんな超高価な物を、褒美として私にほいっと贈って良いものなのかと思ってしまった。
すると、アーサー様が呆れながら私に話しかけてきた。
「リンは、もう少し自分が成し遂げた功績を誇ってもいいんだぞ。過去には、オークキング率いる大軍によって王国王子が率いる軍が全滅したこともあった。そこを、軽傷者だけで済ませたのだ。治療して治るレベルなら、兵にとっては大した負傷じゃない」
「そうね、私もそう思うわ。リンは強すぎるから大した事ないと思っているかもしれないけど、私も近衛騎士だからアーサーの言いたいことは良くわかるわ」
王太子妃様にも追撃を受け、ここは私が引き下がることにした。
流石に常にミスリル製の剣を腰から下げるのは危ないので、普段は魔鉄製の剣を下げるようにした。
すると、ルーカス様がソファーから立ち上がって改めて私に頭を下げてきたのだ。
「リン、改めて礼を言う。あの危ない場面を助けて貰い、本当にありがとう」
「る、ルーカス様、頭を上げてください! 既にお礼を言ってもらっていますし、あの場面はオークキングを倒さないと私も死んでいましたし」
「リンは本当に無欲だな。もし貴族令嬢なら、褒美として私の嫁にするようにと言ってくるものだぞ」
け、結婚!?
ルーカス様、また王子様スマイルでとんでもない事を言わないでください。
私はまたもや顔を赤くして下を向いてしまい、王太子妃様とマリア様もまたまたニヤニヤと私とルーカス様のやり取りを見ていた。
すると、その王太子妃様がある事を伝えた。
「そうそう、リンにはアーサーとアメリアの婚約披露パーティーに参加して貰いたいの。結果的に二人の婚約を結びつけたし、王家からも参加して欲しいと思っているわ」
「わーい!」
「ウォン!」
何故か私よりも先にニース様とシルバが王太子様の話を聞いて喜んでいたけど、そんな凄いパーティーに私が参加して良いのかと思ってしまった。
そもそも、別の問題があった。
「あの、私は貴族令嬢ではありませんし、そんな大層なパーティーに参加するだけの服がありません……」
「なら、治療兵の服を着て参加して良いわよ。当日は意外と怪我人とかが出るから、手はあった方が良いのよ」
王太子妃様によって、あっさりと問題が解決してしまった。
ここまで言われて断るのは失礼だし、何よりもアメリアさんの婚約披露パーティーです。
私も、勿論参加したい気持ちはあります。
「そんなに気張らなくて良いわよ。問題を起こした貴族家は呼ばないし、夜会のようなダンスパーティーも行わないわ」
王太后様が問題ないと言ってくれているけど、多数の貴族が来るのは間違いなかった。
私は、会場の隅でひっそりとアメリアさんとアーサー様を祝っていよう。
今日はこれで終わったのだけど、何だか本当に気疲れしてしまった。
慣れない事は、するものではなないですね。


