数日間は王都近くの森で薬草を集めていき、今日は元々予定していたアメリアさんとの治療の依頼だ。
私は、準備を整えて訓練をしてからシルバとスラちゃんとともに教会に向かったのだった。
「リンさん、おはようございます」
しかし、教会に現れたアメリアさんの姿を見て、ちょっとまずいと思ってしまった。
というのも、アメリアさんは貴族令嬢に相応しい品のあるドレスを身に着けていて、胸元にはネックレスもあった。
対して私はいつもの冒険者スタイルなので、これから行くところには不釣り合いな格好だった。
すると、更にこの場に姿を現した人によって私の不安は打ち消された。
「ふふ、リンはそういうところにも気がつくか。安心せい、今日はアメリアと親しい冒険者が治療に来ると話をしておる」
マリア様が護衛を引き連れながらやってきたけど、当のマリア様も如何にも王女様らしい品のあるドレスを身に着けていていた。
でも、もうここからは腹をくくるしかなかった。
私たちは、マリア様の乗ってきた馬車に乗り込んだ。
「ウォンウォン!」
「ははは、シルバは今日も元気じゃのう」
「ウォン!」
シルバは、馬車内でマリア様に頭を撫でられて超ご機嫌だった。
シルバは緊張の欠片もないので、マリア様だけでなくアメリアさんにも頭を撫でられて尻尾をブンブンと振っていた。
そんな中、私たちを乗せた馬車は段々と王城に近づいていった。
うん、軍の施設に行ったときにも思ったけど、本当に王城って大きいな。
そして、王城の玄関に到着すると、私たちは馬車から順に降りた。
「では、妾の後をついてくるように」
「ウォン!」
シルバが、元気よく返事をしてマリア様の隣を歩き始めた。
貴方は、本当に新しいものが大好きですね。
王城の中をマリア様がずんずんと歩いて行くが、その度にすれ違う職員がマリア様に頭を下げていた。
こう見ると、マリア様が王女様だと言うことが否応にも分かってしまった。
そんな中、マリア様は段々と王城内の居住区域に入っていった。
恐らく、この先に私とアメリアさんで治療を行う人がいるのだろう。
私とスラちゃんは周囲をキョロキョロしながら歩いているけど、シルバはそんなの関係ないと言わんばかりにマリア様の隣を歩いていた。
そして、豪華な部屋の前に私たちは到着した。
コンコン。
「お祖母様、マリアじゃ。アメリアと話をした冒険者もおるぞ」
「入って頂戴」
あの、いま王女様であるマリア様が中に入っている人のことを「お祖母様」って言わなかった?
私とスラちゃんは思わずアメリアさんを見てしまったけど、アメリアさんはニコリとするだけだった。
ガチャ。
そして、部屋の扉が開くと中はとても広く、調度品も品の良いものだった。
そして、天蓋付きの豪華なベッドに一人の白髪をショートカットにした小柄な老人が体を起こしていた。
側には使用人が控えているけど、あの女性がマリア様の祖母にあたる方なんだ。
そして、私たちがベッドの側に行くとマリア様が祖母に話しかけた。
「お祖母様、話をしました冒険者のリンじゃ。妾もこの目で見たが、まさにアメリアと同等レベルの治癒師じゃ」
「まあまあまあ、そんな凄い方なのね」
あわわわ、何だかマリア様からもの凄い評価をもらっちゃったよ。
取り敢えず、挨拶をしないと。
「王太后様、初めまして。冒険者のリンと申します。フェンリルのシルバと、スライムのスラちゃんです」
「ウォン!」
「私はエリアよ、ご丁寧にどうもね。ふふ、シルバは元気いっぱいね」
シルバは、またまた新しい人と友達になって物凄く喜んでいた。
王太后様はとても優しそうな性格で、シルバの頭もニコリとしながら撫でていた。
では、さっそく治療を始めましょう。
私とアメリアさんは、王太后様を挟むようにベッドの両側に立った。
私は気持ちを落ち着けようと、目を瞑って深呼吸をした。
そして、アメリアさんに頷いた。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!
私の回復魔法とアメリアさんの聖魔法の魔法の光が、王太后様を包みこんだ。
王太后様は見た目以上に体の調子が悪かったが、それでもかなりの魔力を使うことで相当の治療を行うことが出来た。
アメリアさんの方を向くと、アメリアさんも私にコクリと頷いてくれた。
「王太后様、かなりの部分の治療を行うことが出来ました。これから私とリンさんで定期的に治療をすることにより、完治を目指す様にいたします」
「まあ、確かに物凄いわね。こんなにも体が軽くなったのって、本当に久しぶりよ」
アメリアさんが王太后様に今後の治療を伝えていたけど、王太后様は顔色も良くなっていて明らかに体調が良くなっていた。
次の治療までに体力をつけることで、更に治療効果を高めることができる。
何よりも、治療に失敗しないで済んだと、私はホッと胸を撫で下ろしていた。
「ウォン、ウォン!」
「ふふ、シルバも喜んでいるのう」
マリア様の隣にいるシルバも尻尾をブンブンと振っていたけど、病人が元気になったのが純粋に嬉しいみたいだ。
治療したばかりというのもあるので、私たちは早々に王太后様の部屋を後にした。
すると、今度はマリア様が応接室に私たちを案内してくれた。
「アメリアにリンよ、感謝する。お祖母様のことを知っているものなら、誰もが元気になったと思うのじゃ。まだ経過観察は必要じゃが、急激に悪化するとは思えないぞ」
マリア様も、祖母の治療がうまくいってホッとしているのだろう。
朝会った時よりも、表情が柔らかくなっていた。
「お祖母様は、妾の目標じゃ。民に優しく奉仕活動にも積極的で、多くの人から尊敬を集めておる。歳というのは理解しておるが、それでも何とかしたいと孫ながらに思っていたのじゃ」
「私も、王太后様を尊敬しております。まるで孫のように接してくれましたが、私の治療では現状維持が精一杯でした。だから、リンさんとの治療が上手くいって本当に安心しました」
マリア様も、アメリアさんも、王太后様から良くされていたからこそ病気をどうにかしたいと思っていたのでしょう。
私も、王太后様はとても良い人だと感じました。
そんな人を治療できて、ホッとしています。
ちなみに、王太后様を治療していることは関係者以外には内緒で、後で指名依頼として処理をするそうです。
「ハグハグハグ」
そして、シルバはというと私に出されたお菓子をいつの間にか完食していました。
おかわりまで貰ってご機嫌だったけど、余りに食い意地を張っているとスラちゃんに怒られちゃうよ。
私は、準備を整えて訓練をしてからシルバとスラちゃんとともに教会に向かったのだった。
「リンさん、おはようございます」
しかし、教会に現れたアメリアさんの姿を見て、ちょっとまずいと思ってしまった。
というのも、アメリアさんは貴族令嬢に相応しい品のあるドレスを身に着けていて、胸元にはネックレスもあった。
対して私はいつもの冒険者スタイルなので、これから行くところには不釣り合いな格好だった。
すると、更にこの場に姿を現した人によって私の不安は打ち消された。
「ふふ、リンはそういうところにも気がつくか。安心せい、今日はアメリアと親しい冒険者が治療に来ると話をしておる」
マリア様が護衛を引き連れながらやってきたけど、当のマリア様も如何にも王女様らしい品のあるドレスを身に着けていていた。
でも、もうここからは腹をくくるしかなかった。
私たちは、マリア様の乗ってきた馬車に乗り込んだ。
「ウォンウォン!」
「ははは、シルバは今日も元気じゃのう」
「ウォン!」
シルバは、馬車内でマリア様に頭を撫でられて超ご機嫌だった。
シルバは緊張の欠片もないので、マリア様だけでなくアメリアさんにも頭を撫でられて尻尾をブンブンと振っていた。
そんな中、私たちを乗せた馬車は段々と王城に近づいていった。
うん、軍の施設に行ったときにも思ったけど、本当に王城って大きいな。
そして、王城の玄関に到着すると、私たちは馬車から順に降りた。
「では、妾の後をついてくるように」
「ウォン!」
シルバが、元気よく返事をしてマリア様の隣を歩き始めた。
貴方は、本当に新しいものが大好きですね。
王城の中をマリア様がずんずんと歩いて行くが、その度にすれ違う職員がマリア様に頭を下げていた。
こう見ると、マリア様が王女様だと言うことが否応にも分かってしまった。
そんな中、マリア様は段々と王城内の居住区域に入っていった。
恐らく、この先に私とアメリアさんで治療を行う人がいるのだろう。
私とスラちゃんは周囲をキョロキョロしながら歩いているけど、シルバはそんなの関係ないと言わんばかりにマリア様の隣を歩いていた。
そして、豪華な部屋の前に私たちは到着した。
コンコン。
「お祖母様、マリアじゃ。アメリアと話をした冒険者もおるぞ」
「入って頂戴」
あの、いま王女様であるマリア様が中に入っている人のことを「お祖母様」って言わなかった?
私とスラちゃんは思わずアメリアさんを見てしまったけど、アメリアさんはニコリとするだけだった。
ガチャ。
そして、部屋の扉が開くと中はとても広く、調度品も品の良いものだった。
そして、天蓋付きの豪華なベッドに一人の白髪をショートカットにした小柄な老人が体を起こしていた。
側には使用人が控えているけど、あの女性がマリア様の祖母にあたる方なんだ。
そして、私たちがベッドの側に行くとマリア様が祖母に話しかけた。
「お祖母様、話をしました冒険者のリンじゃ。妾もこの目で見たが、まさにアメリアと同等レベルの治癒師じゃ」
「まあまあまあ、そんな凄い方なのね」
あわわわ、何だかマリア様からもの凄い評価をもらっちゃったよ。
取り敢えず、挨拶をしないと。
「王太后様、初めまして。冒険者のリンと申します。フェンリルのシルバと、スライムのスラちゃんです」
「ウォン!」
「私はエリアよ、ご丁寧にどうもね。ふふ、シルバは元気いっぱいね」
シルバは、またまた新しい人と友達になって物凄く喜んでいた。
王太后様はとても優しそうな性格で、シルバの頭もニコリとしながら撫でていた。
では、さっそく治療を始めましょう。
私とアメリアさんは、王太后様を挟むようにベッドの両側に立った。
私は気持ちを落ち着けようと、目を瞑って深呼吸をした。
そして、アメリアさんに頷いた。
シュイン、シュイン、シュイン、ぴかー!
私の回復魔法とアメリアさんの聖魔法の魔法の光が、王太后様を包みこんだ。
王太后様は見た目以上に体の調子が悪かったが、それでもかなりの魔力を使うことで相当の治療を行うことが出来た。
アメリアさんの方を向くと、アメリアさんも私にコクリと頷いてくれた。
「王太后様、かなりの部分の治療を行うことが出来ました。これから私とリンさんで定期的に治療をすることにより、完治を目指す様にいたします」
「まあ、確かに物凄いわね。こんなにも体が軽くなったのって、本当に久しぶりよ」
アメリアさんが王太后様に今後の治療を伝えていたけど、王太后様は顔色も良くなっていて明らかに体調が良くなっていた。
次の治療までに体力をつけることで、更に治療効果を高めることができる。
何よりも、治療に失敗しないで済んだと、私はホッと胸を撫で下ろしていた。
「ウォン、ウォン!」
「ふふ、シルバも喜んでいるのう」
マリア様の隣にいるシルバも尻尾をブンブンと振っていたけど、病人が元気になったのが純粋に嬉しいみたいだ。
治療したばかりというのもあるので、私たちは早々に王太后様の部屋を後にした。
すると、今度はマリア様が応接室に私たちを案内してくれた。
「アメリアにリンよ、感謝する。お祖母様のことを知っているものなら、誰もが元気になったと思うのじゃ。まだ経過観察は必要じゃが、急激に悪化するとは思えないぞ」
マリア様も、祖母の治療がうまくいってホッとしているのだろう。
朝会った時よりも、表情が柔らかくなっていた。
「お祖母様は、妾の目標じゃ。民に優しく奉仕活動にも積極的で、多くの人から尊敬を集めておる。歳というのは理解しておるが、それでも何とかしたいと孫ながらに思っていたのじゃ」
「私も、王太后様を尊敬しております。まるで孫のように接してくれましたが、私の治療では現状維持が精一杯でした。だから、リンさんとの治療が上手くいって本当に安心しました」
マリア様も、アメリアさんも、王太后様から良くされていたからこそ病気をどうにかしたいと思っていたのでしょう。
私も、王太后様はとても良い人だと感じました。
そんな人を治療できて、ホッとしています。
ちなみに、王太后様を治療していることは関係者以外には内緒で、後で指名依頼として処理をするそうです。
「ハグハグハグ」
そして、シルバはというと私に出されたお菓子をいつの間にか完食していました。
おかわりまで貰ってご機嫌だったけど、余りに食い意地を張っているとスラちゃんに怒られちゃうよ。


