次の日写真を撮って、それを持ちながら病院へ入った
7階につくと、1人の看護師に止められた
「あなた、湊くんよね?」
この人は最初の頃、奏の担当をしていた、看護師の佐藤さんだった
「瀬川…湊です…奏の看護師さんですよね…」
「そう…!で、一旦待ってて」
そう言って佐藤さんは白藍の病室へ吸い込まれるように入って行った
「白藍………!」
焦って俺も病室へ入ってしまった
「湊くん!?!?」
そこには数人の医者と看護師さんがいた
「白藍…!目あけろ!!」
声をかけても、目があくことがない
医者と看護師の動きがピタリと止まった
「写真撮ってきたよ!」
白藍は目を閉じたまま、動かない。
「……お願いだから、起きて。見に行こうよ、ちゃんとさ。2人で。嘘でもいいから、うなずいてよ……」
声が震える。
涙をこらえようとしても、無理だった。
「俺、まだ言ってないこと、いっぱいあるんだよ…!」
湊の手が、白藍の手に触れるたび、胸が張り裂けそうになる。
温度はまだある。だけど、言葉はもう届かない。
医者と看護師が何か言っているけど何も入ってこない
「ねえ、白藍……!」
泣いてしまった。
声を殺して、肩を震わせながら、白藍の手を握って泣いた
白藍からは一粒の涙が流れた
約束は叶わないって。
だけど、最後まで期待してた。
最期まで、ちゃんと「生きよう」としていた。
俺も、それを全部知っていた。
だから、ずっとそばにいた。
結局俺は白藍のそばから離れさせられ、次ここに来たのは白藍がいなくなってからだった
きた理由はなぜかわからないが、白藍の病室へもう一度だけ来たくなったからだった
看護師の佐藤さんに許可を取り、数分だけ行くことにした

