模擬戦は次々と決着がついていき、いつの間にかボクたちの番になる。ボクは素手、レイは鎌だ。
レイはなかなか動こうとしない。でも、ボクの方から近づくと、かなりの確率で死ぬ。ただ、それをうまいこと交わしたら?評価は上がる。よし、そうしよう。近づいて振り下ろされた瞬間に腕の下にもぐって一撃入れるか。
レイに走って近づくと、予想通り鎌を振り下ろされる。それをよけ、間合いに入ると、突きをいれる。レイは闘技場の端まで吹っ飛ばされた。ただ、思っていたよりダメージは少なそうだ。後ろに飛び下がったり、鎌を使って威力を落としたりしたのか。上手いよけ方過ぎてうらやましい。
レイも攻撃してくるが、あっちは女子というのもあり、体力も桁違いで、いつのまにかレイは倒れて動けなくなってしまった。どちらかが動けなくなるとそこで模擬戦は終了だ。
ボクはレイにペコっとお辞儀をして、元の席に戻った。ボクはまだ足りない点を告げられ、特訓をさせてくれるということだった。

「さて……」

全員の模擬戦が終了し、分析を終えたカルロッタが静かに皆を見渡しながら、次の言葉を口にする。

「今日の結果を踏まえ、一部のメンバーには 新しい任務を課すことになりました」

その瞬間、場が少し緊張した。

「選ばれたのは、ウィル、マリー、マリン、ウィリアム、シャーロットです」

選ばれた。ボクの胸の奥で再び、暑い何かが沸き起こった。アビゲイルが続ける。

「この任務は、より高度な実践を求めるもので、長期的な任務です。成功すれば、あなたたちの評価が変わります」

「任務か……」

マリーが腕を組んで考え込む。よかった。今回もできるんだ。すごく楽しみだ。次はどんな人の叫び声を聞けるんだろうか。

早く……早く、次のターゲットの叫び声を聞きたい。早く、戦いたい。また、あの辛そうな顔を拝みたい。