好きになったきっかけは単純だった。
隣の席になって、声をかけられるようになって。

「おはよう」

「課題、やった?」

「中間、やばいかった~」

ずっと笑っていた君を好きになるのに、そう時間はかからなかった。
席替えで席が離れても、「おはよう」「またね」と声をかけてくれた。

あれから、どこにいても君を探すようになった。
そして、誰よりも君を見つけれるほどになった。

・・・本当にずっと見てきたんだ。
気づかないわけがなった。

君に好きな人がいることぐらい、すぐに気づくことができた。

君は彼と話すとき、少し俯きながら話す。
そして、耳の先が真っ赤になっていた。

そんな君は見たことなかった。

そして、僕はもう一つ気づいた。
僕は、失恋したんだと。

涙は流れなかった。
だけど、心がズキズキと痛くてたまらなかった。

「・・・好きだったよ」

君には届かない想いが、零れた。