僕以外を見つめないで。
 君と話した男共がどうしよもなく憎くなる。

 だけど、できるだけ余裕でいたい。
 我慢するように手を握りしめる。

 爪が手のひらへ食い込む。
 手の痛さよりも、嫉妬で頭がおかしくなりそうだ。

「ちょっ、血!手から血出てるって」
 さっきまで男と話していたのに、僕の手のひらを見て驚いていた。

「もう~、気を付けなよ?」
 そう言いながら、手のひらに張り付けた絆創膏を優しくなでる。

 その顔が大好きで、僕以外は知らなくていい。
 君の全てを独占したい。

 君の頭の中を僕で埋め尽くしたい。
「でも、こうやって一番に心配できるのが彼女の特権だよね」

 嬉しそうに照れながらも、僕の手のひらを見つめる。
 そんな言葉を聞くと、もっと想いが募っていく。

『可愛くて優しい君の全てを僕にほしい』