貴方は世間でいう「俺様」だった。
 私を愛してくれていた。

 みんな「俺様って自己中で嫌」だと言っていたけど、私は決めることが苦手だった。
 だから、貴方が決めてくれるのがありがたかったし、あこがれていた。

「どれがいい?」
 貴方は私に聞いてから「じゃあ、これ似合う」と言ってプレゼントしてくれた。

 強引なところもあった。
 どこでも抱きしめてくるし、勝手にキスするし。

 そんなところも好きだった。
 私の頬を優しく触れる手つきが好きだった。

 なのに、貴方は今私のそばにいなくて。
 あれほど「愛してる」と言ったくせに。

「俺はお前の傍から離れれない」

「俺以外の男と話すな」

 そんな言葉でさえ、嬉しくてその通りにしていた。
 その代わり、私の傍からいなくならないでと言ったのに。

 貴方は、私の前から姿を消した。